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BE A GLOBAL ENGINE 世界を動かすのは、きみだ。

王 鵬
生産技術開発・試作計測グループ
グローバル生産本部
機械工学研究科修了、2013年入社。入社以来、ろう付の品質向上、メカニズムの解明、各拠点への対策展開といった工法技術の開発を担う。新型EGRクーラー開発プロジェクトにおいては、新規ろう付工法の開発や製品の評価を担当。
田坂 将次
EGR-C PJ チームリーダー
熱交事業部
金属工学科卒、1988年入社。エンジンクーリングの設計や技術営業を経て、2014年、新しく開発に取り組むEGRクーラーのプロジェクトリーダーとして抜擢。企画・戦略・設計・生産技術全般をマネジメントし、チームを牽引。
松平 範光
環境技術開発グループ 主坦
グローバルテクノロジー本部
機械工学科卒、2000年入社。オイルクーラーや複合熱交換機の開発・設計、熱マネジメントシステムの開発などに携わった後、本プロジェクトに参加。フィンの性能向上などをめざし、熱交換器の先行開発・要素開発を担う。

新型EGR*クーラー
開発のため、
部門横断で立ち上がった
プロジェクトチーム。

田坂世の中の環境の変化に伴い、排気ガスの削減や燃費の改善など、自動車も進化を続けています。そこで、エンジンの進化に欠かせないのが、熱交換器の一種である新型EGRクーラーの開発です。マレリ(旧カルソニックカンセイ)は社会環境に貢献し、より市場競争力の高いEGRクーラーを市場投入するビジョンを掲げており、他社との差別化につながる性能を備えたEGRクーラーを今後の戦略商品にするために、プロジェクトチームが結成されました。

松平私は田坂さんの在籍する熱交換器事業部の所属ではなく、環境技術開発グループというところに所属していました。ですが、もともと熱交換器設計部で田坂さんと仕事をした経験もあったことから、「松平さんは伝熱(フィン)の開発に必要な要素を持っている。ぜひ加わって欲しい」と田坂さんに声をかけられ、部署を越えてプロジェクトに参加することに。当社の中ではあまり例のないケースでした。

私も松平さんのように、もともとは生産技術開発・試作計測グループという異なるグループに所属し、ろう付工法技術の開発に携わっていました。ですが、EGRクーラーの開発には様々な技術要素が必要になるため、クロスファンクションでチームを組む必要があったのです。私は生産技術開発・試作計測グループに所属しながら、プロジェクト後半ではEGRクーラーの開発をメインで担当するようになりました。

田坂部署を越えたクロスファンクションでチームを組んだもうひとつの理由としては、グローバルの市場を見据え、今まで以上のスピードで製品を開発するためには、様々な要素技術を持ったメンバーが一体となって開発を進めることが必要だったのです。そのため、製品自体はもちろん、今回のプロジェクトはチーム体制の面においても、チャレンジングな取り組みだったと言えます。

* EGR
EGR(Exhaust Gas Recirculation)

必要なのは
新しい知識。
学ぶことが競争力向上に
つながる。

田坂プロジェクトが動き始めた当時、専門的な技術保有メンバーは数名しかおらず、そもそも社内にはEGRクーラーのことを知らないメンバーもいました。そこで私は、まず社内向けの説明会を行い、仲間を増やすところからプロジェクトに着手しました。そんな段階からのスタートでしたから、最初はエネルギーが必要でしたね。まずは知識を増やし、パートナーとディスカッションができるように言語レベルを合わせることをめざしました。

松平このプロジェクトにおいては、私も勉強すべきことがとても多くありました。従来の熱交換器ではアルミを用いることが多いのですが、今回のEGRクーラーでは温度帯が800〜900℃と高温のため、ステンレスを用いることになりました。ですが、熱交換器にステンレスを採用すること自体が、当社にとってあまり経験のないことです。材質が異なると、求められる知識もまったく異なるため、関連会社に聞きに行ったり、自分でも独自に勉強したりと、毎日が勉強でした。

松平さんと同じく、ろう付においても学ぶことは多くありました。アルミのろう付は、約600℃で一体化できますが、ステンレスだと倍近い温度で一体化する設備が必要になります。ですが、社内にはまだ知見がありませんでしたから、大学との共同研究やろう付学会へ参加するなどして、情報収集に努めました。日本だと主流の工法の情報しかなかったため、ヨーロッパの学会まで足を運んだこともありましたね。

田坂国内でまったく例がないわけではないのですが、今回の開発では、より幅広い知見が求められていたのです。王さんが会社の外に知見を探し求めたように、松平さんも大学の共同研究などを行っています。つまり、社内の知見だけに頼らず、外との関わりを積極的に持った点も今回のプロジェクトの特徴でした。

部署を越えた一体感と
チャレンジ精神が、
最大の強み。

松平プロジェクトが進行していく中で、大きな課題にも直面しました。フィンをディーゼルエンジンにも適応する際に、煤が堆積して放熱性能が劣化するという問題です。そのメカニズムを分析しないと、求めるフィンはつくれない。そこで、EGRクーラーをカットして、ガラスを通じて現象を確認しようとしたのですが、煤のせいで見ることができませんでした。そこで、そもそもなぜ煤が堆積するのか、という原理からアプローチして、温度差によって煤は冷たい方に移動することが分かりました。この発見は、開発におけるブレークスルーとなっただけでなく、業界でのインパクトも大きく、論文として発表も行いました。

新規のろう付工法においては、ろう付した産物の中に、外部から見えない小さな泡が発生してしまうという問題がありました。しかし、泡の発生自体を「0」にすることができないため、発生メカニズムの解明、および製品の品質に対する影響を明確にしようという観点から解決に乗り出しました。また、内部の泡を観察する際、サンプルを切断しないと観察できず、泡の発生位置が特定できないという困難にも直面しました。そこで、X線によって泡の発生位置を特定するという評価手法に着眼することで、産物を評価しやすくすることができました。

田坂これらの計測技術部門との連携により、取り込んだ3次元のデータから信頼性の検証確認をすることも必要でした。生産技術だけでなく、設計や計測技術側とも連携して取り組んだから解決できた事例ですね。困難な課題はいくつもありましたが、メンバーたちが「必ずできるはずだ」と言ってくれたから、実現できたことばかりです。

松平たしかに、役割をまたいで連携する機会は多くありました。実際に、熱交換事業部や排気事業部など、部署としては分かれていますが、ほとんど壁を感じたことはありません。今回のプロジェクトがまさに象徴的な例となりますが、会社が一体となってつくり上げる姿勢が当社の強みだと思います。

それとチャレンジ精神も私たちの強みですね。新しい生産設備にしても、他の会社の設備を応用する選択肢もあったのですが、競争力を上げるために、苦労してでも新しいことをやろうというチャレンジ精神があった。私自身も、知識の面でも体験の面でも、大きく成長できたと感じています。

田坂チャレンジングな場面は多かったですね。私たちのチームは発展途上ですし、EGRクーラーはまだまだ発展できると思っています。10年、20年後に、「あのチャレンジがあって良かった」と思われるような活動にしていきたいです。

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