モータースポーツ


レースレポート

OKAYAMA GT 300km RACE
2005年 SUPER GT 第1戦 in 岡山国際サーキット(岡山) 1周= 3.703km

カルソニック IMPUL Z
アクシデントに見舞われ序盤にリタイア

全日本GT選手権(JGTC)が国際シリーズ化され、名称もSUPER GTとなった。その開幕戦は3月26〜27日に岡山国際サーキット(旧称:TIサーキット英田)にて開催され、ブノワ・トレルイエ/井出有治組のカルソニック IMPUL Zは、13番目のグリッドからスタートして6位争いのグループまでポジションアップしたが、バックマーカーに追突されて車両が大破。わずか8周目でリタイアという残念な結果に終わった。

予選

Copyright © Calsonic Kansei 

カルソニック インパルZの05モデルは、3月の岡山国際のプライベートテストでシェイクダウン。そして鈴鹿の合同テストでも好調に走行を重ね万全の態勢で岡山入りした。練習走行の行われた25日はあいにくの雪混じりの冷たい一日天候。ドライコンディションでの走行が少なく、セッティングを思うように煮詰めることができなかった。しかし条件は各車とも同じ。気分を切り替えて26日の予選に臨むことになった。

26日は一転朝から晴れて暖かい一日となった。今年は予選方式のひとつとして、F1のように1台ずつが予選アタックを行う“スーパーラップ(SL)”が導入されることになった。従来どおり午前の予選1回目、午後の予選2回目の総合タイムを予選結果とする方法もそのまま設定されており、大会主催者がどちらかを選択することになった。そして岡山では新たな試みであるSLが採用されたのだった。
SLへの手順は、まず午前中の予選1回目(1時間)を20分ずつ区分して、GT300/GT500/混走の枠に分けた。各車両はこの1時間の間にドライバー2名ともが予選基準タイムをクリアして、なおかつトップ10に入ることができればSLへの進出が決まる。午後の予選2回目は、最初の30分が15分ずつに区切られ、GT300/GT500の走行枠となる。このわずか15分間で、予選1回目の結果SL進出を決めた10台を除く車両の中でトップ2に入ることができれば、SLに進出することができる。

インターバルを置いてGT300クラス12台によるSL、そしてGT500クラス12台によるSLが行われるが、これは2台の車両が同時にコースインして2周のウォームアップランの後、1周のみのアタックを行うというもの。このSLのタイム順でトップ12台のグリッドが決定。13台目以降は予選1回目のタイム順で並ぶことになる。
見ている側からすればSLは分かりやすい予選方式。予選用にはタイヤは2セット使うことができるが、予選1回目に1セットのタイヤでトップ10入りできれば、2セット目のタイヤでSLを戦うことができる。しかし予選1回目にトップ10入りできない場合は、予選2回目の15分間で2セット目のタイヤを使用することになり、SLはその中古タイヤを使用するためタイムアップが難しくなる。加えてSLのわずか2周でタイヤを上手に温められるのか? SLは非常にスリリングでドライバーも神経を使うものになりそうだ。

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10時30分から始まった予選1回目は気温も13℃で非常に穏やか。GT300の専有走行枠で赤旗中断があったため、GT500の専有走行は11時3分からの20分となった。カルソニック インパルZのアタックはブノワが担当。ブノワは開始13分の時点でトップタイムとなる1分25秒435のタイムをマーク。しかしその後はタイムアップする車両があり、9位となった。これでSLの進出が決まったかのようにみえた。
ところが11時23分からの混走枠途中、井出に交代して予選基準タイムをクリアしようとコースインしたが、「2周目のWヘアピン1個目で突然スローダウン。Wヘアピン2個目まで上ったところでエンジンが止まり、そのまま惰性でピットイン」(井出)してきた。急ぎ車両のチェックが行われたが無残にも時間は過ぎ、井出は予選基準タイムをクリアできず。これでSLへの進出権を得られないことになってしまった。トラブルの原因は燃料系だった。

予選2回目は15時15分からの15分間が基準タイムをクリアする最後のチャンス。井出はSLへの出場権利が得られない悔しさをぶつけるかのような走りで走行。まず簡単に基準タイムをクリアして、7周目に予選1回目のブノワのタイムを更新する1分25秒073というタイムをマークしたが、この周では黄旗区間があったため減速違反ということでベストタイムを抹消されてしまった。しかしながらその前の周には1分25秒420を刻んでおり、井出のタイムはこのセッションで2番目となるものであった。この結果カルソニック インパルZは、GT500クラス18台中13番目のグリッドが決定となった。

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決勝

27日も朝のうちは好天で、朝早くから5万9100人ものファンが岡山に詰め掛けた。しかし天候は下り坂にあり、夕方からは雨が降り出す可能性もあった。8時20分から30分間行われたフリー走行で、カルソニック インパルZは10番目のタイム。あとは決勝で追い上げるだけだ。
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14時にパレードラップがスタート。14時3分にグリーンシグナルとなって82周の決勝レースが始まった。カルソニック インパルZのスタートドライバーはブノワ。しかしスタートラインを通過するまでに既に前の車両を抜いてしまっていた。10位でオープニングラップを通過したブノワは、4周目には9位、そして6周目には4台の車両による6位争いを展開していく。さらに周回遅れが出だし、GT300の隊列を縫うようにGT500の隊列がバトルを繰り広げていった。
しかしそんな矢先、やはりスタートの違反が取られ、ドライブスルーのペナルティが課せられることになってしまった。8周目のヘアピンコーナー立ち上がりで、GT500の車両を避けて走行していたGT300の車両同士が接触。そのうちの1台の車両がスピンしながら、運悪くブノワの背後から追突してしまった。リヤのカウルを大破させたブノワは何とかピットまで帰ってきたが、左リヤの足回りも壊れておりここで万事休す。予選からのトラブルを引きずったままレースウィークを終えることになってしまった。

第2戦はチームインパルの地元、新生・富士スピードウェイでのレース(5月3〜4日)。4月10〜11日に開催されるGT合同テストまでに車両を万全にして、雪辱を期す。

RACE RESULTS
Sunday,27 March, 2005 - OKAYAMA International Circuit [ 14:03〜82Laps Cloudy / Dry ]
Pos Car Name No. Driver Name Time/Diff
1 ECLIPSE ADVAN スープラ 25 織戸 学 / ドミニク・シュワガー 2:02'29"899
2 DYNACITY TOM'S SUPRA 36 土屋 武士 / ジェームス・コートニー -3"494
3 G'ZOX・HASEMI・Z 3 金石 年弘 / エリック・コマス -21"403
4 ARTA NSX 8 伊藤 大輔 / ラルフ・ファーマン -30"533
5 EPSON NSX 32 松田 次生 / アンドレ・ロッテラー -48"176
6 DYNACITY TOM'S SUPRA 37 片岡 龍也 / 山本 左近 -51"411
7 TAKATA 童夢 NSX 18 道上 龍 / 小暮 卓史 -1'06"041
8 デンソーサードスープラGT 39 アンドレ・クート / ロニー・クインタレッリ -1Lap
9 イエローハットYMSスープラ 35 服部 尚貴 / 脇阪 薫一 -1Lap
10 RAYBRIG NSX 100 セバスチャン・フィリップ / ジェレミー・デュフォア -1Lap
R カルソニック インパル Z 12 ブノワ・トレルイエ / 井出 有治 -75Laps

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JGTC→SUPER GTで何が変わった?

インターシリーズ化されたSUPER GTだが、車両規則や競技ルールの基本に大きな変更はないものの、一部分は細かく改訂されている。
車両規則では、最低地上高が45mmから50mmに変更、ミドシップ車両へのウェイト補正の軽減(NSXはこれで50kg軽量化)、前面投影面積の補正(細分化)など。
競技規則では、ペナルティやドライブマナーなどはSUPER GTレースディレクターが競技長と協力して判定を行うことになった。これにより、従来、競技長の判断だったものが、固定されたレースディレクターがシリーズ全体を通して一緒に判断することによって、開催地における微妙な判断の違いをなくし公平な判断ができると期待できる。また、予選トップ3と決勝ベストラップトップ3に与えられる10kgのウェイトハンディは、シーズン途中に降ろすことができるようになった。さらにシーズン中に一度でもウェイトハンディを受けた車両は、性能引き上げは受けられないことになった。エンジンチューナー部門のタイトルも廃止された。

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