2016年SUPER GTシリーズ最終ラウンドは11月11〜13日にツインリンクもてぎ(栃木県)において250kmの2レースとして開催され、安田裕信、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラの「カルソニック IPUL GT-R」は、第3戦:7位と第8戦:8位で、シリーズランキング8位でシーズンを終えた。
今回は熊本地震のために開催中止となった第3戦オートポリス大会の代替戦を12日、最終戦を13日に行う変則開催。11日には公式練習が2セッション行われたが、
朝は強い雨、午後もウェットコンディションとなり晴天予報が出ていた12日以降のためのデータが取れない状況となった。それでも朝は2位、午後も3位とまずまずの走り出しを見せた。
12日は朝の霧が晴れハーフウェットコンディションで15分間の予選が行われた。ハンディウェイトはこれまでの半分の36kg。この気温11℃、路面温度12℃という冷えたセッションを担当したオリベイラは、ウェットタイヤでコースインしセッション終盤に6位につけるも、次々にオリベイラのタイムを更新する車両があり11位となった。期待していた予選だけに少々残念な結果となった。
午後の決勝レースは気温も18℃まで上昇。完全にドライコンディションとなり、スタートを担当する安田の追い上げに期待がかかった。オープニングラップで安田は2台のNSX CONCEPTをかわし9位に上がり、
9周目と10周目にも1台ずつをかわして7位へ。中盤の21周でピットインしてオリベイラに交代した。8位でコースへ戻ったオリベイラは29周目の5コーナーで7位へ順位を上げ、44周目の90度コーナーではオーバーテイクを狙った46号車と接触しスピンを喫したが、その順位を守ってゴール。何とかギリギリでチャンピオン争いに踏みとどまった。
13日の最終戦はGT500全車がハンディなしのガチンコ勝負。朝の予選は気温11℃と肌寒かったが、このセッションを担当した安田は5位につけ上位入賞を期待させた。しかしこの時点でランキングトップの車両がポールポジションを獲得し得点を追加したために、残念ながら12号車のチャンピオンの可能性は消滅することになった。しかし、最終戦での有終の美を飾るべく、決勝のグリッドでは、カルソニックカンセイ森谷CEOと細川EVPが星野一義監督を表敬訪問。星野監督もサバサバとした表情で最終レースと来季への巻き返しを誓った。またグランドスタンドには、カルソニックカンセイから多くの応援観戦ツアーが来場し、小旗を振って星野監督へ声援を送っていた。
決勝は気温22℃と小春日和のなかスタート。安田は2周目の3コーナーで4位へ順位を上げて前を追ったが、逆に12周目に逆転され再び5位に。早めの19周でピットインするとオリベイラに交代。35秒という素早いピット作業で送り出されたオリベイラは25周目に7位へ順位を挽回するも、29周目には8位へ順位を下げ前のマシンを追いかけるも逆転までにはいたらず、そのままの順位で最終レースを終えた。グランドフィナーレを終えてピットでは、2016カルソニックレディの二人からドライバーへの花束贈呈が行われ、1年間の感謝を伝えた。
この結果によりポイントランキングは8位。今季は多くのアクシデントとトラブルに見舞われた波乱のシーズンとなったが、最終ラウンドまでチャンピオン争いに加わることができた。スタッフの心は既に、新型車両を迎える来季に向け切り替わっている。
安田裕信
「最後のレースはタイヤへの負担がかかり、予選のタイム差がそのまま決勝の差になってしまいました。レースではポイントポイントでパフォーマンスを見せられたと思いますし、パッシングもできました。今季はTEAM IMPULで3年目。去年はランキング2位にとどまり今年はチャンピオンを獲る気満々だったのですが、アンラッキーなこともありファンの皆さんの期待を裏切ってしまい申しわけなく思っています。オフのテストで走り込んで来年に備えたいと思います。一年間応援ありがとうございました」
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
「僕たちはレクサスと比べて速さが足りませんでしたから、作戦を変えて彼らの前に出るように頑張るしかありませんでした。速かったレクサスとは違うタイヤを使っていましたから、早くピットインして硬いタイヤに替えたのですが、思うように走ることができず残念なレースになってしまいました。全国のサーキットまで応援に来てくれる熱心なファンの皆さんの期待に応えられず申し訳ありません。カルソニックカンセイとブリヂストンにも感謝しています。新しい車両のテスト情報を聞くと、来年に向けてやらなければならないことはたくさんあるようなので、オフの間も頑張り続けます」