レースレポート

2016 SUPER GT 第5戦

8月6日〜7日 富士スピードウェイ(1周:4.563km×66周)

カルソニック IMPUL GT-R、2季ぶりの優勝を飾る

2016年SUPER GTシリーズ第5戦は8月6〜7日に富士スピードウェイ(静岡県)において開催され、安田裕信、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラの「カルソニック IPUL GT-R」は、ポールポジションからスタートしてオリベイラから安田へつなぎ、最後は2位に25秒もの差を付ける独走となり今季初優勝。2014年5月以来久々の優勝を遂げチャンピオン争いに踏みとどまった。

まさかの2戦連続ノーポイント。この悪い流れを断ち切るには、得意とする地元の富士スピードウェイで勝つしかなかった。ハンディウェイトはわずかに14kg。日産GT-Rの中でも最も軽量であり、5月の第2戦では優勝目前まで素晴らしい走りを展開した。ところが予選日朝の練習走行ではトップタイムが奪えず2位。ここでセッティングを変更して予選に臨むこととなった。

Q1は安田が担当して1分28秒795で2位につけて無事突破。Q2ではオリベイラが終盤に1秒28秒458までタイムアップして見事に今季2回目のポールポジション(PP)を獲得した。「PPで得た1点は大きいです。クルマの力はあるし調子もいいですが、何があるか分かりません。気持ちで負けずクリーンなレースで優勝したいし、これまで以上にがんばらないといけません」とオリベイラは気を引き締めていた。

決勝日も朝から晴れて前日同様気温30℃を超える猛暑となった。隊列の先頭に陣取る星野一義監督をカルソニックカンセイの森谷弘史CEO、細川光作EVP、真行寺CTOらが表敬訪問。星野監督は終始笑顔で今回の優勝を誓った。そして14時42分に66周レースのスタートが切られると、オリベイラは2位の#46 GT-Rを引き連れて3位以下を引き離しにかかった。6周目に周回遅れが出始めるとそれを巧みに利用しながら2位との差を広げ始めた。13周で5秒差、そして19周目には11秒ものリードを築いたが、ほぼ同時に1コーナー先でアクシデントが発生してコース上に落ちた部品を回収するためにセーフティカー(SC)が導入され、これでオリベイラの11秒のマージンは一瞬にして消えてしまった。

しかし隊列が整った際にラッキーだったのは、2位との間に周回遅れの車両を一台挟んでいたこと。24周終了でリスタートが切られたが、ここでオリベイラは見事な加速で後続を引き離しにかかった。周回遅れの車両はすぐにピットインをしたが、これで2位との差を2秒に開くことができた。32周終了時点、3.5秒差で2位の#46 GT-Rがピットインすると、オリベイラも次の周でピットインして安田に交代。メカニックも35秒という迅速な作業で安田をコースへ送り出し、これで実質2位との差を10秒近くまで広げることができた。

ところが35周目の1コーナーで、実質2位であった#46 GT-Rがブレーキトラブルのためにクラッシュ。36周で暫定トップだった車両がピットインすると、安田はトップに戻り2位の#100 NSXに13秒以上のリードを広げていた。さらにNSX同士による2位争いのバトルが始まると、安田は徐々に後続を引き離しにかかった。その後はタイヤやマシンを労りながら1分31〜33秒台の安定したラップタイムを重ねて、チェッカーを受けた際には2位に25秒もの差をつけての独走優勝。星野監督も安堵の表情を浮かべた。

最終戦までチャンピオン争いを展開した昨年は勝てなかったため、優勝は一昨年5月の富士以来2年3か月ぶり。これでドライバーズポイントでは4位まで浮上。残り4戦で逆転チャンピオンを狙える位置に踏みとどまった。さらにピットスタッフは、ベストメカニック賞となる「ZF賞」を獲得した。次の鈴鹿でも高得点を狙って戦っていく。

星野一義監督
「ようやく勝てたということですごくホッとしている。スタートからいいペースで走れたけれど、追う側ではなくて追われる側というのは最後まで怖くて仕方がなかった。JPを早めに交代させたのは、ライバル(46号車)が先にピットインしたからそれに合わせた。これまでは結果が出なかったので監督の責任というものを痛感していたけれどこれで帳消しになったかな。ドライバーもそうだけど、ベストメカニック賞ももらえたようにスタッフの働きにも感謝しています。これからもチャレンジしていくよ!」

安田裕信
「交代してからはフルプッシュしてギャップを広げました。46号車が消えてからはエンジンやタイヤなどを労りながら走りました。自分なりにいいところを見せたかったのですが、その結果が優勝につながりました。ギャップが広がってからもセーフティカーが入るのではないかと不安でしたが、ここで勝たないとチャンピオン争いの権利をなくしてしまうので気をつけました。久しぶりの優勝でホッとしています」

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
「これまでは不運だったのですが、それがずっと続くことはないと思っていました。前半は11秒のリードが0になってがっかりしましたが、いいリスタートが切れました。交代してからも全然不安は感じていませんでした。これからも何があってもあきらめずプッシュして、戦略を練るとかではなく考えすぎずベストを続けていくことが大事だと思っています」

8月6日1位/ドライ観衆:1万8,400人
7日1位/ドライ気温33℃
路面温度54℃(14時)
観衆:3万3,500人
ドライバー部門安田裕信/J.P.デ・オリベイラ4位/28点
チーム部門5位/33点

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