レースレポート

2016 SUPER GT 第2戦

5月3日〜4日 富士スピードウェイ(1周:4.563km×110周)

カルソニック IMPUL GT-R、残り3周半でまさかの結末

2016年SUPER GTシリーズ第2戦は5月3〜4日に開催され、安田裕信、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラの「カルソニック IPUL GT-R」は、ポールポジションからスタートしオリベイラがトップを守って安田へ。中盤も安田がトップを守っていたが、レースも2/3を過ぎたあたりでアクシデントのためにセーフティカー(SC)が導入され、それまで築いたマージンがなくなった。さらに2回目のピット作業で#1 NISMO GT-Rに逆転を喫したが、オリベイラがコース上で抜き去り再びトップに。しかし、そのまま逃げ切るかと思われた107周目、まさかのタイヤバーストでコースアウト&ストップ。無念のノーポイントとなった。

ゴールデンウィーク恒例の富士500kmは、朝から富士山が顔を覗かせた。3月の富士でのテストでトップタイムをマークしたTEAM IMPULは、このレースに自信を持って臨んだ。昨年果たせなかった優勝こそが目標。それは公式練習の時点から結果に現れ、トップタイムをマークした。しかし最後のGT500専有枠直前、ピットに戻った車両の下に細かい粉が出ていることにメカニックが気づいた。最後の専有枠で安田が新品タイヤを履くことはできなかったものの、駆動系のトラブルを未然に防ぐことができた。午後の公式予選Q1では、安田がコースイン。「ナーバスな気持ちでしたが、周囲から思い切って行けと言われた」安田はここで2番手のタイムで無事Q1突破。Q2ではオリベイラが最後にトップタイムをマークしてポールポジションを獲得。星野一義監督も笑顔でオリベイラを出迎え、スタンドに向かって大きく手を振った。オリベイラも「明日はベストを尽くします。ミスがなければいい結果になるでしょう」と自信を見せた。

夜中の嵐が通り過ぎ早朝には青空が広がった富士。今年も5万人を超えるファンが思い思いの場所に陣取った。カルソニックカンセイ柿沢誠一CFOと細川光作EVP、真行寺茂夫CTOが星野監督を表敬訪問。星野監督もグリッド上にて穏やかな表情で優勝を誓った。500kmの決勝レースは14時にフォーメーションラップがスタート。気温22℃、路面温度40℃。やや冷えた風が少し強く吹くが絶好のレース観戦日和だ。スタートはオリベイラが担当し、大きな混乱もなくレースは進展。6周目からはバックマーカーが出始め、それらを巧みにかわしながらオリベイラは独走態勢を築いていった。2位との差を18周目には10秒、31周目には20秒と広げ完全な独走へ持ち込んだオリベイラは、38周終了でピットインして安田に交代。ピット作業もミスなく安田をコースへ送り出した。

安田は13秒ほどのマージンを保ってコースへ。慎重にバックマーカーをかわしながら2位との差を保って周回を重ねていった。53周目、追い上げてきた2位との差は10秒を切り、やがて8秒差となったが、それ以上の接近は許さない。しかし各チームが2回目のルーティーンピットを控えた72周目に入ったところで、タイヤバーストのためにコース上にパーツを散乱させた車両があり、この回収のためにSCが導入。安田のマージンは一気になくなってしまった。76周終了時点でレースは再スタート。78周で安田はピットインしてオリベイラに交代。ここでもノーミスでコースへ復帰した。ところが2回目のピットインを81周まで遅らせた#1 NISMO GT-Rが、短い給油時間でコースへ復帰するとトップに浮上していた。

オリベイラの2秒前で走行する#1 NISMO GT-Rは40kgのウェイトを搭載しているものの、簡単には前を譲らない。3位の車両は5秒以上後方にあり、優勝争いは2台のGT-Rによる一騎打ちとなった。トップとの差を1秒以内で逆転のチャンスをうかがっていたオリベイラは、96周目の1コーナーで勝負に出た。イン側を奪ったもののややオーバーラン気味となるが、そのまま2コーナーへ向けて#1 NISMO GT-Rと並走。しかしコカ・コーラコーナーまでにトップを奪って逆転すると、スタンドからは大きな拍手が起きた。

オリベイラは2位との差を1秒ほどに保ちながら周回。残り4周を切った終盤107周目の1コーナーで白い煙を出してブレーキング。エンジンかブレーキにトラブルか? そうスタッフが心配した100Rで左のリヤタイヤが突然バーストした。マシンの後部はバラバラとなりオリベイラはコースオフ。何とかレースへ復帰を試みるもオリベイラはレースを断念するしかなかった。

まさかの展開となった富士。次のラウンドは得意とするオートポリスだったが、震災のために中止が決定となり、7月のSUGOまでインターバルが空く。気持ちを切り替えてポイントを重ねていくこととなる。

安田裕信
「僕の使っていたタイヤもブロー直前でしたが、まさかの展開になりました。セーフティカー導入で一気にマージンがなくなったのはもったいなかったです。次のSUGOはクルマが軽いので優勝を狙えますし、ここで優勝できなかったらチャンピオン争いから完全に脱落してしまいますので、気持ちを切り替えて気を引き締めて臨みます」

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
「言葉がありません。びっくりするようなレースでした。チームの努力が水の泡になってしまいました。でも今日の経験を学び、前に進むしかありません。たくさんのファンから応援をいただきました。残念ながら結果は残すことができませんでしたが、感謝します」

5月3日1位/ドライ観衆:3万5,700人
4日11位/ドライ気温22℃
路面温度40℃(14時)
観衆:5万1,000人
ドライバー部門安田裕信/J.P.デ・オリベイラ7位/7点
チーム部門7位/10点

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