レースレポート

2015 SUPER GT 第7戦

10月31日〜11月1日 オートポリス(1周:4.674km×65周)

カルソニック IMPUL GT-R
ポイントリーダーを守り最終戦へ

SUPER GT第7戦は、300kmレースとして大分県のオートポリスにおいて開催。ポイントリーダーの#12「カルソニック IMPUL GT-R」(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)は、51kgのハンディウェイトで参戦。ポールポジションからスタートして前半はトップを守ったが、ドライバー交代直後のアウトラップで#1 NISMO GT-Rに逆転され、再逆転を狙ったがトップを奪い返すことはならず2位でゴールしたが、ポイントリーダーの座は守った。

今シーズンも残り2戦。最終戦の前のレースは、これまでのハンディウェイト102kgが半減の51kgとなり、規定により50kg相当分の燃料リストリクター装着+ハンディウェイト1kgで臨むこととなった。燃料リストリクターのためにコーナーからの立ち上がりやGT300車両の追い越しには苦しみそうだが、実際に搭載するウェイトは軽量なためにこれが走行にどう影響するのかが心配されたが、10月に行われたタイヤテストでは上位のタイムをマークしており、今回のレースでは活躍が期待された。星野一義監督も「残り2戦は勝ちに行く」と強い気持ちで現地入りし、チーム全員が高いテンションを保ちレースに臨んだ。

オートポリスは阿蘇外輪山の中腹にあり、アップダウンに富むドライバーにも好評なコース。心配された天候もまずまずで、予選日は朝から青空が広がった。朝の公式練習は安田がモラルハザードの累積のために走ることができず、オリベイラがひとりでセットアップに努めたが、ベストセッティングまで詰めきれず3位。サーキットサファリで安田が乗り込んで確認後セッティングを変更し、予選に臨むこととなった。

予選Q1は4戦ぶりに安田が担当。次のQ2に進むためにはトップ8に残らなければならないが、15台の車両のうち13台がコースレコードを更新するという激しいQ1となった。そんな中で安田はトップと0秒191差の3位につけQ1を突破。Q2までの30分のインターバルの間にさらにセッティングを変更して、今度はオリベイラが乗り込んだ。わずか1周のアタックでオリベイラは1分32秒835という驚異的なコースレコードでポールポジションを獲得!「ヒロ(安田)が素晴らしい仕事をしてくれました。クルマが跳ねるなど満足なセッティングではありませんでしたが完璧なエンディングでしたね。明日はスタートが大事です。勝って最終戦を迎えたい!」とオリベイラは力強く語った。

決勝日は朝から曇り空で、天気予報も午後には雨が落ちてくる可能性を伝えていた。朝のフリー走行でもトップタイムをマークしクルマの調子は万全のようだった。カルソニックカンセイの森谷CEO、関連企業である(株)CKKの田原社長、井澤取締役がスターティンググリッドの星野監督を表敬訪問。星野監督はこのレースでの活躍を誓った。またスタンドには(株)CKKの社員ら多くの応援団が陣取り、盛んに青い旗を振った。

気温14℃、路面温度17℃というコンディションの14時7分、65周の決勝レースがスタート。スタートを担当したオリベイラに#38 RC F、#1 NISMO GT-Rが続き、この3台が抜け出してトップグループを形成。オリベイラは徐々に2位との差を広げていったが、6周目から周回遅れが出だすと逆に追いつかれてしまい、19周目の1コーナーでは3台がテールtoノーズの状態となった。コースの一部では雨がパラパラと落ちてきたがコースを濡らすまでには至らず。2位争いが熾烈になった時点でオリベイラは2位を引き離しにかかり、一時は4.8秒のマージンを築いた。しかしタイヤカスを拾うというピックアップ現象が起きてしまい、思うようにその差を広げられない。逆に2位に浮上した#1 NISMO GT-Rの追い上げを受け、33周目のコントロールラインではほぼ横に並ばれるほどだったが、何とかこれをしのいでトップを守った。34周で#1 GT-R が先にピットイン。オリベイラは39周でピットインすると安田に交代した。

安田はトップでコースに戻ったがまだタイヤが温まらない状態で、41周の1コーナーで#1 GT-R に逆転を許すことになった。しかしタイヤが発熱してグリップが上がると追撃を開始し、#1 GT-Rの背後につけてチャンスをうかがった。そして47周目の第2ヘアピンで#1 GT-Rのインに飛び込んで一瞬トップに立った。しかしわずかにオーバーランを喫し、ラインをクロスしてきた#1 GT-Rと接触。これで弾き飛ばされることはなかったが、左のカナードを失いドア付近のボディワークにもダメージを負うこととなった。だが安田は諦めずトップを僅差で追いかけたが、周回遅れに引っかかり57周目には6秒以上の差をつけられてしまった。しかし安田は諦めなかった。60周を過ぎ雨の量が増えて路面もうっすらと濡れてくると、そこからさらに追い上げてファイナルラップではトップの背後についたが、ここで非情のチェッカーフラッグ。 2位となり今季初優勝はならず、ランキングトップの座は守った。だが降りてきた安田と迎えたオリベイラは表彰式の直前まで突っ伏して悔し涙を見せた。

最終戦でチャンピオン獲得の権利を持つチームは6に絞られたが、実質的には#1 NISMO GT-Rとの一騎打ち。20年ぶりの戴冠を目指し、万全の準備をして2週間後のツインリンクもてぎラウンドを迎える。

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
「(#1 GT-Rは)真っ直ぐヒロにぶつかって来た。なぜペナルティの対象にならないのか理解できない。もう何も考えられないよ。でも大勢のファンに応援してもらいました。感謝しています」

安田裕信
「横に激しく当てられて、それからはアライメントも狂って真っ直ぐ走らなくなってしまいました。ブリヂストンとミシュランのタイヤの温まり方は違うし特性の違いも分かってはいたけれど、クリーンなバトルをしたかった。まだテレビ映像を見ていないので何とも言えないけれど。JPが完璧100%のレースをしてくれただけにショックは大きいです」

10月31日1位/ドライ気温/路面温度観衆:1万1,340人
11月1日2位/ドライ〜ウェット14℃/17℃(スタート)観衆:2万2,680人
ドライバー部門安田裕信/J.P.デ・オリベイラ 1位/66点
チーム部門1位/85点

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