レースレポート

2015 SUPER GT 第6戦

9月19日〜20日 スポーツランドSUGO(1周:3.704256km×81周)

カルソニック IMPUL GT-R
ノーポイントながら、ポイントリーダーを守る

SUPER GT第6戦は、シルバーウィークの前半に300kmレースとして宮城県のスポーツランドSUGOで開催。ポイントリーダーの#12「カルソニック IMPUL GT-R」(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)は、ハンディウェイト上限となる「50kg相当分の燃料リストリクター装着+ハンディウェイト50kg」で参戦。予選も15台中14位と苦しんだが、決勝では2回のペナルティストップを受けてノーポイントという結果に。しかしポイントリーダーの座は守った。

シーズンもいよいよ後半戦のヤマ場、ハンディウェイトが「獲得ポイント×2」のMAXとなる東北ラウンド。本来であれば累計102kgのウェイトを搭載しなければならないが、規定により50kg相当分の燃料リストリクター装着と50kgのハンディウェイト搭載と、これ以上ないサクセスハンディキャップを受けての参戦となった。舞台はタイトなコーナーが連続し標高差約70mとアップダウンに富むSUGOであるため、車重が重く燃料リストリクターによってパワーが抑えられ、かなりの苦戦が予想された。さらにここは“魔物が棲む”と表現されるように、コース幅やランオフエリアが狭くアクシデントも多く発生しがち。この厳しいレースではアクシデントに巻き込まれることなく最後まで生き残り、ひとつでも多いポイントを加算しておきたいところ。星野一義監督とカルソニックレディは、SUGO入りする日に福島・二本松のカルソニックカンセイ関連会社である海KFを訪問し従業員と触れ合い、その応援パワーをもらった。

前日までのぐずついた天候も回復した予選日のSUGO。秋晴れの午後に予選Q1が行われた。今回もオリベイラがステアリングを握りギリギリでトップ8に入りQ2進出を狙ったが、このコースではウェイトと燃料リストリクターの効果が絶大で15台中14位にとどまった。これでスターティンググリッドは確定。14位スタートから堅実に完走してトップ10ゴールを目指すこととなった。

決勝日は朝こそ雲が多かったもののすぐに晴れ間が広がり、爽やかな風が吹く秋晴れとなった。今回はカルソニックカンセイ真行寺茂夫CTOが星野一義監督を表敬訪問。星野監督も笑顔で出迎えた。気温26℃、路面温度38℃というコンディションのもと、14時5分に81周の決勝レースがスタート。ステアリングを託されたのは安田。ハンディキャップでがんじがらめの車両だけに、ブレーキやタイヤを労りながらアクシデントに巻き込まれないような走りが求められた。

安田は慎重にレースをスタート。無理なバトルは避けながらていねいにGT300車両を抜き13位から14位で周回をしていたが、11周目に3コーナー手前でクラッシュした車両があり、危険回避のために2コーナー先から4コーナーまでが追い越し禁止を知らせる黄旗が掲出された。しかし3コーナーと4コーナーでスローダウンした車両を追い越してしまった。レースはそのまま続き、追い越しについては確認と審議が行われた。

24周目に3位を走行していた車両がタイヤからスモークを上げてスローダウン。さらに26周目には接触でスピンした車両をかわして12位に浮上した直後、レインボーコーナーを回った安田の目の前で1台の車両が激しくクラッシュ。順位は11位に上がった時点で停止した車両を回収するためにセーフティカー(SC)が導入された。レースはSCランの間に隊列が組み直されたが、31周終了時点でそれまでクローズドとなっていたピットレーンへの進入が認められると、GT500車両のほぼ全車がピットイン。狭いピットレーンは一気に満杯となり大混乱となった。しかしTEAM IMPULのクルーは迅速にミスなく作業をやり遂げ、交代したオリベイラは一気に6位にまで順位を上げることに成功した。

32周終了と共にSCが隊列の先頭から離れてレース再開。オリベイラは重くエンジンが満足に吹き上がらないマシンに手こずりながらも、ひとつ順位を落とした7位をキープ。8位の車両とは15秒ほどの差があり、順調にレースをこなせばトップ10以内でゴールしてポイントを加算できるかもしれないという状況だった。しかし40周を経過した時点で序盤の審議の裁定が出て、3コーナーでの追い越しがピットストップ20秒と発表された。このペナルティを消化した直後に4コーナーでの追い越しがピットストップ30秒と発表され、2度のペナルティを消化したオリベイラはトップから2周遅れの13位となり、この時点でのポイント獲得は難しくなった。その後、他の車両にもペナルティが次々に出されて、結果的には11位まで順位を上げたがノーポイント。しかしこれまでのマージンがあり、ポイントリーダーを守って残り2戦を戦うことになった。次のオートポリスはハンディが半減(50kg相当分の燃料リストリクター+1kgのハンディウェイト)となり、NISSAN GT-Rが得意とするコース。残り2戦で逃げ切りを図っていく。

レース後、星野監督は険しい表情ながら「最低のライン(ポイントリーダー)は守った。次のオートポリスではやるよ!」と短く言い残して巻き返しを誓った。高橋紳一郎テクニカルディレクターも「ペナルティがなくても10位でゴールできたかどうかというラインだったでしょう。今回は厳しいレースになるとは予測していましたが、残り2戦できっちり戦います」と気持ちを入れ替えていた。

9月19日14位/ドライ気温/路面温度観衆:8,000人
20日11位/ドライ26℃/28℃(12時)観衆:2万8,500人
ドライバー部門安田裕信/J.P.デ・オリベイラ 1位/51点
チーム部門1位/67点

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