レースレポート

2015 SUPER GT 第5戦

8月29日〜30日 鈴鹿サーキット(1周:5.807km×163周)

カルソニック IMPUL GT-R
荒れたレースで表彰台獲得、ポイントリーダーを守る

SUPER GT第5戦は、シリーズ最長の1,000kmレースとして鈴鹿で開催。秋雨前線の影響でぐずついた天候となり、またアクシデントやコース上のオイル処理等で2回セーフティカー(SC)が導入されるなど荒れた展開となりレース距離も10周短縮された。ポイントリーダーの#12「カルソニック IMPUL GT-R」(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)は、燃料リストリクター+ハンディウェイト26kgながら大健闘。3位でフィニッシュしてランキング2位との差を広げてトップを守った。

前半の4戦を終えてポイントリーダーに躍り出たものの、前戦同様燃料流入量を制限する燃料リストリクターを装着し、さらにハンディウェイト26kgを搭載しての鈴鹿入り。しかしNISSAN GT-Rはマシンバランスが良く、テクニカルコースである鈴鹿では、ストレートの長い富士ほど苦戦はせずに済みそうだった。

今年で44回目の開催となる“鈴鹿1,000km”は、例年残暑厳しいなか行われるが、今年は秋雨前線の影響もあり週末はぐずついた天候となった。土曜午前中の練習走行では3番手につけてまずまずの走り出しを見せた。午後、予選開始の時点の天候は曇り、気温27℃、路面温度32℃としのぎやすいコンディション。Q1のセッション最後の最後にオリベイラが1分48秒567で8位のタイムを叩き出してQ2への進出を決めると、Q2では安田が1分48秒500で5位へ順位を上げて終了。グリッド3列目を確保した。「思い切って行って来いと言われ気合を入れて走りましたが、タイムを出した次の周でちょっと飛び出してしまったのが残念。決勝ではきちんと1,000kmを走って3位以内でゴールしたい」と安田はホッとした表情を見せた。

予選日夜の大雨は早朝までに上がったが路面は濡れたまま。各車がグリッドに整列しグリッドウォークが始まったころから弱い雨がポツポツと落ち始めた。今回はカルソニックカンセイ細川光作EVP、真行寺茂夫CTOが星野一義監督を表敬訪問。星野監督も笑顔で出迎えた。また今回チームピット内の設備がさらにリフレッシュされ、明るく美しいショールームのようになった。

12時39分、173周という長丁場の決勝がスタート。オリベイラは雨で視界の悪いなか2周目には4位を奪ったが、雨量が増してきた11周目には7位へ。しかし13周目には6位へ順位を戻し後方から様子をうかがった。30周の手前あたりから最初のピット作業をする車両が出始めた。オリベイラは34周目まで引っ張りピットインし安田に交代。4位でコースに戻った。2回目のピットインが始まった63周目にコース上でクラッシュした車両が出たためにSCが導入された。ピットインを数周後に控えていた安田は、残念なことにこれで大幅なマージンを吐き出してしまうこととなった。68周目にピットレーンがオープンとなると安田はピットインしてオリベイラに交代。直後にSCが隊列を離れバトル再開。オリベイラはトップから26秒遅れの5位となったが、トップと同一周回上にいて勝負権を失ったわけではない。雨はこの時点で上がっていた。

74周目にオリベイラはその時点でのファステストラップを叩き出して前を追っていた。しかし直後に最終コーナーから1コーナーにかけてオイルを撒いた車両があり、これに乗ってコースアウトを喫する車両が続出すると、2度目のSC導入となった。今度はトップと30秒以上あった差が一気に8秒弱に縮まって、78周終了時点でバトルが再開。2度のSC導入のために、規定により当初予定されていた173周よりも前の18時25分でチェッカーが振られることとなった。105周でオリベイラはピットインし安田に交代。安田は3位でコースに戻るが、ピットアウト直後に停車していた場所にラジエター冷却水が出ており、ピットは騒然となった。同時に西コースではまた雨が落ち始めた。安田はエンジンの回転数を下げて様子を伺いながら周回を続けた。この間にトップは好タイムをマークしながら2位以下を振り切っていった。#12 GT-Rは大きな問題も出てこないこともあり、3位走行中の安田は131周でピットイン。

最後のスティントはオリベイラに託された。6位でコースへ戻ったオリベイラは集中すると、138周目のヘアピンで#100 NSX CONCEPT-GTをインから一気に追い抜くと、139周目の2コーナー出口からS字入口で#46 GT-Rをかわして3位へ。すでにトップとは1分40秒ほどの差がついていたが、40秒前を走る2位の#38 RC Fを追いかけた。しかしその差を8秒まで縮めた163周でタイムアップ。GT-R最上位の3位で連続表彰台を獲得。13点を追加してポイントリーダーを守り、2位との差を7点に広げた。

安田裕信
「2度目にコースに出た際に、ピット前にクーラント(ラジエター冷却水)がこぼれていたということで、無線でピットインの指示が出たのですが、僕は入りたくなかった。ピットとのコミュニケーションもパニック状態になってしまいましたが、100号車の後ろにつけて回転数を下げるなど様子を見ました。大きな問題もなかったのでそのまま走り続けましたが、今回はクラッシュが多くて細心の注意を払いました。今回の3位はチャンピオン獲得に向けて重要な結果になったと思います」

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
「今回の目標はトラブルを出さないことでした。天候と路面の状態でタイヤを選ぶことに苦心しました。最初のSCは最悪のタイミングで、あのコンディションではオーバーテイクはとても難しかったです。ただクルマのバランスはすごく良くてチームには感謝しています。最後は2位を追い上げましたが届きませんでした。できれば2位でゴールしたかったですね。チャンピオン獲得のチャンスは十分あると思いますが、一番重いクルマだということもあって今日は本当に疲れました」

8月29日5位/ドライ気温/路面温度観衆:2万6000人
30日3位/ウェット〜ドライ26℃/28℃(12時)観衆:3万4,000人
ドライバー部門安田裕信/J.P.デ・オリベイラ 1位/51点
チーム部門1位/66点

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