カルソニック IMPUL GT-R、逆転タイトル獲得ならず

2014年SUPER GTシリーズ最終戦となる第8戦が、11月15〜16日、栃木県ツインリンクもてぎのロードコースで、通常より短い250kmレースとして開催。最終戦で優勝して逆転チャンピオンを狙った#12「カルソニック IMPUL GT-R」(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)は、予選5位からスタートしたが、オープニングラップで前の車両と接触してコースアウト。さらにその行為に対してペナルティを受けて大きくポジションダウン。13位フィニッシュとなり、ランキング6位に終わった。

最終戦は規定により、これまでの7戦にエントリーした車両はハンディウェイトが0となり、GT500クラス車両は全車が開幕戦時と同様ノーハンディによるバトルが演じられることとなった。開幕時より速さを見せつけてきたNISSAN GT-Rにとって大きなチャンスとなるラウンドだ。ドライバーズタイトル争いは既に5台の車両の8人に絞られており、カルソニック IMPUL GT-Rの安田とオリベイラにとっては、“優勝してポイントリーダーの#36 RC Fが3位以下”であれば逆転タイトル獲得となる。

レースイベントに先立つ14日、GT合同テストが行われ3時間の走行では#12 GT-Rは3番手とまずまずの走り出しを見せた。15日、予選日朝の公式練習では5番手とまずまず。そして晴れ/ドライ、気温14℃というコンディションで13時45分に公式予選Q1が始まった。残り7分を切った最後の最後に安田がコースイン。しかし直後に前を走行していた車両がスローダウンして止まってしまった。これでセッションは赤旗が掲出され中断。14時から残り7分でのセッションとなった。このセッションでも1台の車両がスローダウンしたもののピットインしたためアタックは続行。安田は残り2分の時点で3番手となる1分39秒383のタイムをマークしたが、直後に2台にかわされ5位となり、無事Q2への進出を決めた。

トップ8によるQ2はオリベイラが担当。残り7分となった時点でコースインしたオリベイラは、1分39秒326で4位。さらに次のラップで1分39秒013へタイムアップしたが4位のまま。直後に#36 RC Fに逆転され5位となった。ポイントリーダーは4位、安田/オリベイラ同様逆転チャンピオンを狙う#23 GT-Rはポールポジション、大逆転を狙う#18 NSX CONCEPT-GTは3位、そしてランキング2位の#37 RC Fは13位だった。なお来年入社予定の学生25名がピットを訪問、星野一義監督からクルマの説明を受け、記念撮影をキッズウォーク前に記念撮影を実施した。さらにその後、サプライズで11日に誕生日を迎えた安田のバースデイパーティを行った。

16日、決勝日の朝に行われたフリー走行で、#12 GT-Rはトップタイムをマーク。誰もが決勝に向けて大きな手応えを感じた。11時50分から8分間のフリー走行を行い、いよいよ全車がコースイン。90度コーナーのZ席には250名近い応援団が陣取り、ここに森谷弘史カルソニックカンセイ社長、真行寺茂夫取締役、細川光作専務執行役員も加わり、付近をカルソニックブルーに染めて熱い声援を送った。そして13時ちょうどに53周の決勝レースは、栃木県警の白バイとパトカーによる安全運転啓発のためのパレードラップが始まった。気温16℃、路面温度23℃、スタンドには3万2,000人のファンが陣取り固唾を飲んでスタートを待った。

13時7分、グリーンランプが点灯して15台のGT500マシンが一気に加速。3コーナーでオリベイラの真後ろにいた#32 NSX CONCEPT-GTがコースアウトする波乱のオープニングラップ。オリベイラは5コーナーを加速してオーバルのアンダーパスを抜け、右高速コーナーである130Rのイン側にスペースを見つけてインに飛び込んだ。しかし相手の#36 RC Fもインを締めて2台は接触。オリベイラはコースアウトを喫し14位にまで順位を落としてしまった。

それでもオリベイラは諦めずにコースに戻りレースを続けたが、接触時に車両のバランスは崩れラップタイムは上がらない。さらにその接触行為に関してピットロードのドライブスルーというペナルティを受けることとなった。19周でオリベイラはピットイン。安田にドライバー交代して給油。しかしエアジャッキが接触の影響で完全に上がらず左リヤタイヤの交換に手間取り、これでトップの車両とは1周の差がついてしまった。それでも安田はコースへ戻り、粘り強い走りで周回を続け、40周目には13位に順位を上げた。14時40分過ぎ、安田は13位でチェッカー。逆転戴冠とはならなかったが、シリーズ6位で新コンビでのシーズンを終えた。

安田裕信
「レースは最後まで走って1ポイントでも取ろうと思いましたが、左側のエアロが壊れていて思うような走りができませんでした。今回の結果は残念ですが、全8戦のうち1勝できましたし、4回表彰台に立つことができて目立つことができました。これはチーム、チームメイトのおかげです。今年は星野監督と一緒にレースができいろいろなアドバイスをいただきましたし、期待されているのだと感じましたし自信になりました。しっかりレベルを上げて今年以上に活躍ができるようにしたいです。一年間応援ありがとうございました」