レースレポート

2014 SUPER GT 第3戦

5月31日〜6月1日 オートポリス(1周:4.674km×65周)

カルソニック IMPUL GT-R、死闘を演じ3位表彰台を獲得

2014年SUPER GTシリーズ第3戦が、初夏の5月31日〜6月1日、オートポリスにおいて300kmレースとして開催。#12「カルソニック IMPUL GT-R」(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)は、62kgという換算ハンディウェイトを抱えながらも、4番グリッドからスタートしたオリベイラが3位にポジションを上げると、後半は安田がその順位をキープ。終盤にはマシントラブルにも見舞われ苦しい展開となったが、後続を振り切ってゴール。19年ぶりのGT-R表彰台独占に加わり、ポイントリーダーの座を守った。

例年10月に開催されていた九州ラウンドは、今年は日程の変更で梅雨入り直前に開催されることになった。毎年のように霧や悪天候に悩まされていたが、今年は天候が気になるところだが、レースウィークの北部九州地方は黄砂の影響で空は霞んでいるものの、南からの暖かい空気が入り連日30℃前後という真夏のような天候となった。

5月にSUGOで行われた合同テストの結果、GTアソシエイションではオートポリスとSUGO戦ではGT500車両の空力部品を富士仕様に統一することとした。強いダウンフォースが得られる空力部品ではサーキットによっては危険が伴うと判断。安全面を考慮しての決定となった。4月のオートポリスで行われたタイヤテストでは、オリベイラがコースレコードを4秒も縮めるなど好調さを見せていたが、異なるエアロパーツがどう走行に影響するのか興味が持たれた。

ポイントリーダーであり62kgのハンディウェイトを搭載する#12 GT-Rだが、規定により50kg分のハンディに相当する燃料リストリクターを装着し、12kgのウェイトを搭載。燃料リストリクターの影響について安田は「ストレートでのトップスピードが途中から伸びない感じで、ここやSUGOのようなテクニカルサーキットではあまり影響はないかもしれませんが、富士のようなストレートの長い高速コースではつらいでしょう」と話していた。またローダウンフォースのエアロパーツに関しては「テクニカルセクションでは舵が入らない感じで思うように曲がらない」ということだった。

しかし31日朝に行われた公式練習では4位につけ、タイヤテスト時の好調さは持続しているようだった。気温29℃、路面温度42℃という真夏のような気候のもと公式予選Q1がスタート。安田はQ2進出となるギリギリの8位でこのセッションを突破。Q2ではオリベイラが4位につけ、これで2列目からのスタートが確定した。

1日の決勝日も前日同様真夏のような天候となり、朝早くから家族連れを中心とした2万5,000人近いファンがサーキットに詰めかけ、コースサイドにクルマを止めてレースイベントを楽しんでいるようだった。今回もカルソニックカンセイ森谷弘史社長、(株)CKK遠藤進社長が来場し、星野一義監督を表敬訪問。星野監督も笑顔で出迎えこのレースでの活躍を約束した。

14時にフォーメーションラップがスタートし、1周でセーフティカー(SC)が隊列から離れると65周の決勝がスタート。序盤は大きなアクシデントもなかったが、一列に連なった隊列が随所でバトルを展開。6周目あたりから早くも周回遅れの車両が出始め、8周目の最終コーナーでそれに引っかかったオリベイラの隙を突いて#37 RC Fが前に出た。しかしオリベイラも諦めずにそれについて周回を重ねた。そして16周目の第2ヘアピンのインに入ったオリベイラは4位に順位を戻すと、翌周の第1ヘアピン立ち上がりで#1 RC Fに並び3位を奪取。しかしこの時点で前を行く2台とは20秒以上の差が付いていた。折り返し点よりやや早めの31周でオリベイラはピットインして安田に交代。安田も3位を守ってコースへ戻った。さらに4位の#37 RC Fとは15秒ほどの差が付いており独走状態。

しかし48周目に入ったころ、1コーナーで大きなクラッシュが発生。さらに1コーナー手前で白煙を吐いて停止した車両がありSCが導入。これで前後の差は一気に詰まることとなった。56周終了時点、残り9周でレースは再スタート。ところが安田のペースが思うように上がらず、#37 RC Fと#36 RC Fにピタリとマークされることとなった。実はこの時点でシフトアップがしづらくなっており、また6速に入らないというトラブルを抱えていたのだ。 終盤62周目の1コーナーで#37 RC Fに一瞬前に出られた安田だったが、一歩も引かず3位を死守。さらに64周目の第2ヘアピンや65周目の第1ヘアピンでも危うく抜かれそうになるも、バックマーカーを巧みに間に挟みながら3位を守ってチェッカー。トップ3の表彰台をNISSAN GT-Rが独占するのは、1995年第4戦富士以来実に19年ぶりの快挙。この3位で3戦連続表彰台を獲得し、ポイントリーダーも守りシリーズ中盤戦へ突入することとなった。

安田裕信
「せっかくJPがギャップを作ってくれたのにSCでそれが消えてしまい、電気系のトラブルかもしれませんがシフトアップがしづらくなり6速にも入らなくて苦労しました。今までは周回遅れに引っかかるパターンでしたが、今日は間に入ってくれるようなラッキーなタイミングで、こんなうまくいくこともあるんですね。でもあと1周あったら3位は守れなかったかもしれないので、本当に表彰台に立てて良かったです。ホッとしました」

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
「ハンディキャップのある車両で前の2台には離されてしまいましたが、テストの時からクルマの調子は良かったし3位を守ろうと思いレースをしました。SCが入ってマージンがなくなってドキドキしましたが、ヒロ(安田)が順位を守って素晴らしい走りをしてくれました!」

5月31日4位/ドライ気温29℃/路面温度42℃(13時)観衆:1万3,800人
6月1日3位/ドライ気温28℃/路面温度43℃(14時)観衆:2万4,400人
ドライバー部門安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ1位/42点
チーム部門1位/51点

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