レースレポート
SUPER GT 第6戦8月23〜24日 鈴鹿サーキット(1周:5.807km×173周)
23日 : 雨/ウェット、1万7,000人    24日 : 曇りときどき晴れ/ドライ、3万7,000人

序盤のマシントラブルから逆転で2年ぶりの1000km制覇!

予選5位 / 決勝12位   ドライバー部門:セバスチャン・フィリップ=6位/40点、松田次生=7位/40点、チーム部門:9位/48点


37回目の開催となるSUPER GT一番の長丁場、鈴鹿1000kmを制したのは、2年前のウィナー「カルソニック」だった! レース序盤にホイールナットの緩みから早めのピットインを行うことになり大きくタイムロス。しかしそこから松田が2スティント2時間のドライブをこなして追い上げ、終盤についにトップを奪取。最後はセバスチャンがリードを守りきり逆転優勝を果たした!


Copyright © Calsonic Kansei 
今回のレース直前に今年3回目の特別性能調整が行われ、GT-Rの最低車重が20kg軽い1,160kgとなった。さらに「カルソニック IMPUL GT-R」は1ランクの性能調整を受けて25kg軽い1,135kgでレースに臨むことになった。したがって今回は優勝を狙う大きなチャンスとなりそうだった。
予選日の23日は朝からまとまった雨となった。予選開始11分で松田が2分8秒706でトップに立ったが直後に逆転され2位へ。さらにGT500専有走行枠の残り5分で雨が止み、各車レインタイヤを深溝から浅溝に交換してタイムアタックを続けた。しかし柔らかめのタイヤをスーパーラップ(SL)用にキープしたこともあり、松田はタイムアップならず4位に。さらに混走枠で5位となり予選1回目が終了。午後のSL進出を決めた。 しかし午後になると雨が再び強くなり、結局予選2回目もSLも中止。ポールポジションを獲得した#100NSXが前日にエンジン交換を行ったためにグリッドの10番降格となり、「カルソニック IMPUL GT-R」は繰り上がり4番グリッドを獲得することになった。

決勝日の朝までに雨は上がり、フリー走行では松田が1分57秒777の2番時計をマーク。「予選のポジションは仕方ない。クルマのバランスはいいので決勝では勝ちたい」と松田のコメントにも力が入った。
そして13時05分に173周の決勝レースがスタート。ステアリングを握った松田はオープニングラップのシケインで#1 NSXをかわして3位へ。しかし10周目の130Rで#1 NSXと軽く接触してバランスを崩した間に5位までドロップすることになった。16周目に3位の#1 NSXがスロー走行となり松田は4位へ。さらに20周目のシケインで3位の#36 SC430と接触して相手がスピン。しかしこれはレーシングアクシデントと判断されお咎めなし。松田は3位に繰り上がることになった。ところが「車両の挙動がおかしい」という無線が松田から入った。25周目、予定していたよりも早く松田は緊急ピットイン。ドライバーはそのままでタイヤ4本交換と給油を行うことになった。しかし左リアのホイールナットが緩み、ナットの緩み止めと噛んでしまいホイールの交換に30秒程度手間取ることとなった。これでGT500の最後尾まで大きくポジションダウン。これでこのレースの勝負権を失ったと誰もが確信した。

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しかし松田はトップから1分半ほどあった差をじわじわと詰め、1回目のピット作業がひと段落した36周目にはトップから46秒差の9位へポジションを戻していた。またライバル勢のマシントラブルやアクシデントもあり、2回目のピット作業が始まった56周目には4位、57周目には3位、そして58周目にはトップの#100 NSXと2.5秒差の2位まで大きくポジションを上げた。
62周目、#100 NSXと松田が同時にピットイン。ここでセバスチャンに交代。#100 NSXより早いピット作業時間でピットアウトしようとしたが、ドアにエアホースが挟まり一旦ストップ。これで#100 NSXに先行を許すことになった。2回目のピット作業が落ち着いた72周目にセバスチャンは4位。73周目の2コーナーで3位へ上がり、86周目にトップの#22 GT-Rがピットインすると#100 NSXとは13秒差の2位へ浮上することになった。#100 NSXとセバスチャンとの差は、12秒から18秒までわずかに開いたがまだ逆転の可能性はある。
100周目に#100 NSXがピットインしてタイヤは2本のみ交換で早いピット作業を終了。セバスチャンも同じ周にピットインしてこちらはタイヤを4本交換して松田に交代。しかし#100 NSXとの差は27秒まで開き、逆転は厳しそうだった。
ところが松田は#100 NSXとの差を最初の5周(115周目)で5秒詰め、周回によっては2秒ずつ詰める走りを展開。その10周後(125周目)には16秒差、次の5周(130周目)で11秒差とし、136周目にはついに5秒を切った。トップの#100 NSXが137周目にピットインすると松田はトップに浮上。そして軽い車重のままもう1周して138周目に最後のピットインをしてセバスチャンに交代。このピットワークでは2台ともタイヤ交換は4本だったこともあり、セバスチャンが#100 NSXより前でコースに復帰。しかし2台の差はわずか5秒しかなかった。

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逃げるセバスチャン、そして追う#100 NSXのドライバーはかつてのカルソニックのドライバー、井出有治だった。新旧のカルソニックドライバーのバトルは、井出がセバスチャンを追い上げ149周目には2台の差はついに0秒420まで詰まった。しかし追い上げられたセバスチャンもノーミスでバックマーカーを掻き分けながらトップを死守。しかしこの頃から井出の車両には、駆動系から振動と音が出始めたこともありペースダウン。2台の差は逆にジリジリと開いていくことになった。
セバスチャンは薄暮のコースを危なげなく走り、井出との差を10秒以上まで引き離し、最後はペースを落とす余裕まで見せた。そして173周目、カメラのフラッシュがいくつも瞬くグランドスタンドで歓喜のチェッカー。伝統の鈴鹿1000kmを2年ぶりに制覇したのだった。

松田次生
「今年からカルソニックのメンバーとなりまず1勝したいという目標がありました。序盤は苦しく行き場がなくなってSCと接触。ナットが緩んで急遽ピットインしましたが、さすがに2時間続けての走りはしんどかったです。2回目の担当ではプッシュし続けていいペースで走りきれたことが大きいし、燃費もよかった。セバスチャンとふたりで、そしてチームで頑張って勝ち取った勝利です」
セバスチャン・フィリップ
「鈴鹿1000kmでの優勝は3回目ですが、シリーズに組み込まれてからの優勝は初めてだし、GTの表彰台も優勝も久しぶりなので非常にうれしいです。最初にツギオがWスティントで頑張ってくれたし、最後はギャップを作っていけば必ず優勝できると信じていました。もてぎは苦しいレースになると思うけれど、オートポリスではチャンスがあるでしょう」

Rd. 6 INTERNATIONAL POKKA 1000KM RACE
- Sunday,24 August, 2008 - SUZUKA Circuit International Racing Course
[ Start 13:05 - 173 Laps / Weather : Cloudy - Fine Course : Dry ]
Pos No. Car Driver Time / Diff
1 12 カルソニック IMPUL GT-R 松田 次生 / セバスチャン・フィリップ 5:56'31.327 
2 100 RAYBRIG NSX 井出 有治 / 細川 慎弥 / 松浦 孝亮 +7.866 
3 36 PETRONAS TOM'S SC430 脇阪 寿一 / アンドレ・ロッテラー / カルロ・バン・ダム +34.598 
4 22 MOTUL AUTECH GT-R ミハエル・クルム / 柳田 真孝 / ドミニク・シュワガー +35.062 
5 3 YellowHat YMS TOMICA GT-R ロニー・クインタレッリ / 横溝 直輝 +41.833 
6 6 ENEOS SC43 飯田  章 / ビヨン・ビルドハイム / ロベルト・ストレイト +51.810 
7 24 WOODONE ADVAN Clarion GT-R J.P・デ・オリベイラ / 荒  聖治 +1'24.333 
8 23 XANAVI NISMO GT-R 本山 哲 / ブノワ・トレルイエ / ファビオ・カルボーン +2'00.744 
9 38 ZENT CERUMO SC430 立川 祐路 / リチャード・ライアン +1Lap 
10 35 宝山 KRAFT SC430 ピーター・ダンブレック / 片岡 龍也 +1Lap 
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カルソニックカンセイ&シーケー販売役員
富士に続きチームを表敬訪問

今回、第3戦・富士に続き、カルソニックカンセイの真行寺茂夫副社長執行役員と林隆司専務執行役員、シーケー販売の森永正隆代表取締役社長と胡桃澤光孝常務取締役が、鈴鹿で1000kmレースを観戦。チームを表敬訪問してドライバー、星野一義監督、スタッフを激励した。チームは2年ぶりのビッグイベントを制覇。優勝を狙うためには、毎戦訪問してもらうしかなさそうだ!

9月13〜14日 ツインリンクもてぎ(栃木県)

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