レースレポート
SUPER GT 第9戦11月3〜4日 富士スピードウェイ(1周:4.563km×66周)
3日 : 曇り /ドライ、2万9,300人    4日 : :晴れ / ドライ、4万8,800人

カルソニック インパル Z
GT100戦目の最終戦で2位フィニッシュ

予選1位/決勝2位
ドライバー部門:星野一樹=11位/34点、B.トレルイエ=13位/30点、J.デュフォア=23位/4点   チーム部門:10位/49点


94年にGTアソシエーションが発足してから数えて100戦目となる07年最終戦。この記念すべきレースで「カルソニック インパル Z」は、5万人近いファンが詰め掛けた富士スピードウェイを沸かし今年最高のレースを見せた。予選ではブノワが驚異のコースレコードでポールポジションを獲得。決勝でこそ序盤にライバルに逆転を許したが、後半は3位をきっちり抑えて今季最高位の2位でフィニッシュ。チームポイントも10位までポジションアップして07年シリーズを終了した。


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2戦続けての不運なアクシデントもあり、今回は2ランクUPの性能調整を受けて臨んだ最終戦。ドライバーもスタッフも「富士で勝つ!」と意気込んでいた。金曜日の練習走行では、午前中に1分34秒025でトップタイムをマーク。午後はロングランをやったこともありこの日の総合では2位にとどまったものの、セッティングも順調に進んでいった。

3日(土)朝の天候は前日同様、どんよりとした曇り。予選日ながら早い時間から3万人近いファンが集まった。気温12℃と冷える中、10時30分からGT500クラスの予選1回目が始まった。タイヤが温まりにくいため、ブノワは開始10分の時点で早めのコースイン。そしてタイヤを温めながら1分41秒502、1分36秒567とタイムアップ。さらには1分33秒467と前日のタイムを更新してトップに立った。しかしその後に逆転。ブノワはさらにアタックを続けたが1分33秒672と更新ならず、結果的には4位で予選1回目を終えることとなった。トップから最後尾の16台までが0秒893の中にひしめくというまれに見る大混戦の予選だった。混走セッションでは一樹が問題なく基準タイムをクリアした。

午後からは晴れとなり気温も16℃まで上がった。予選2回目でセッティングを確認した後、15時からGT500クラスのスーパーラップが始まった。ブノワは7番目の出走で、ターゲットタイムは1分33秒766だ。
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コカ・コーラ手前までのセクター1でそれまでのトップタイムを0秒133更新したブノワは、100R出口で2回ほどバランスを崩しながらも強烈なアタックを続け、ダンロップコーナーまでの高速なセクター2では何とそれまでのトップタイムを0秒5以上も更新。やや苦手なテクニカルセクションを含むセクター3もきれいにまとめてコースレコードとなる1分33秒022という驚異的なタイムをマークして堂々トップに立った。この後にアタックした3台ともこのタイムを上回ることができず、今季初、昨年の鈴鹿1000km以来のポールポジションを獲得した。

「富士でのターゲットはまずポールポジションを獲ることでした。GT100戦目でファンも大勢来てくれてるし良かった。今年は特にいい結果を残せていないので、明日はもちろん優勝したいです」とブノワ。一樹も「金曜日からロングをやっていて調子もいいし、みんな絶対に勝とうという気持ちでいます」と意気込みを語った。

4日は朝から晴れて富士山も美しい姿を見せた。朝のフリー走行では、ブノワが1コーナーでタイヤにフラットスポットを作ってしまったこともあり、使用できるタイヤがないため、数周でチェック走行を終了した。クルマ的には問題はないという。

66周の決勝レースは14時にフォーメーションがスタート。そして14時4分にグリーンランプが点灯するとバトルが始まった。スタートドライバーであるブノワは1周目からプッシュ。3周目にはこのレースの最速ラップとなる1分35秒030をマークして6周目には2位#17 NSXに2.2秒の差をつけた。しかし7周目に2位へ上がった#32 NSXがハイペースでブノワを追ってきた。ブノワも周回遅れを巧みに利用しながら13周目にはその差を2.9秒まで開くが、早い時点からタイヤのグリップがダウン。19周目のコントロールラインは#32 NSXと並んだまま通過して1コーナーまでに逆転を許すこととなった。さらにブノワは3位の#17 NSXの追撃を受け、26周目の13コーナーでアンダーステアが出て膨らんだところをかわされてしまった。既にタイヤはグリップを失っており、折り返しより早めの28周でピットイン。ここでタイヤを交換し給油、そしてドライバーは一樹に交代してコースへ6位で復帰した。
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36周で暫定トップを走行していた#17NSXがピットイン。そして3位の一樹の前でコースへ復帰した。温まっていない#17 NSXのタイヤに対し一樹のタイヤは十分に温まっていて、勝負を賭けるのはこの周と次の1コーナーしかない。一樹はダンロップコーナーまでに#17 NSXに追いつくと、翌週の1コーナーで勝負を賭けて2位へ浮上。タイヤが温まった#17NSXも追撃態勢を取り、特にセクター3では背後にピタリとつける。しかし2ランクアップの性能調整を受けるZはストレートでは追いつかせない。このバトルは10周ほど続いたが、やがて#17NSXとの差を1秒ほどに広げその後も1ミスも許されない状況が続いた。一樹は最後まで気を抜くことなく2位を守り抜いて歓喜のチェッカーを受けた。優勝こそならなかったが、今季最高位で2度目の表彰台を獲得。チームポイントも10位へ浮上し、来年のシード権を手中にした。


ブノワ・トレルイエ
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「ホッとしたというのが正直な気持ちです。今シーズンの半ばには速いときもあったけれど、不運なアクシデントやミスもあって、僕たちの実力を発揮できないこともありました。今日は絶対に勝とうと思っていましたが、32号車がとても速かったし、序盤はクルマのコントロールもうまくいかず、タイヤのグリップダウンも思っていたより早かったので仕方がないです。この結果はハッピーですし、一樹に感謝したいです。もちろん応援してくれたスポンサー、そして、たくさんのファンのみんなに感謝します!」


星野一樹
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「もう(#17 NSXを抜く)チャンスは、あの周、あの1コーナーしかないと思ってプッシュしました。ちょっと外側に膨らんでしまってタイヤカスを踏んじゃいましたが、何とか前に出られて良かったです。抜いてからはバックマーカーをうまく使えたと思います。相手はセクター3が特に動きが良くて速かったので、そこはとても気を使いました。優勝はできませんでしたが、シーズン最後のレースを表彰台で締めくくることができて良かったです」

Rd. 9 FUJI GT 300KM RACE
- Sunday,4 November, 2007 - FUJI SPEEDWAY / 14:05 〜 66Laps fine / dry
Pos No. Car Driver Time / Diff
1 32 EPSON NSX ロイック・デュバル / ファビオ・カルボーン 1:47'54"425 
2 12 カルソニック インパル Z ブノワ・トレルイエ / 星野 一樹 -16"418 
3 17 REAL NSX 金石 勝智 / 金石 年弘 -20"806 
4 38 ZENT CERUMO SC430 立川 祐路 / 高木 虎之介 -35"508 
5 24 WOODONE ADVAN Clarion Z ジョアオ・パオロ・デ・ オリベイラ / 荒 聖治 -49"161 
6 1 宝山 TOM'S SC430 脇阪 寿一 / アンドレ・ロッテラー -1'01"841 
7 100 RAYBRIG NSX ドミニク・シュワガー / 細川慎弥 -1'02"079 
8 8 ARTA NSX 伊藤 大輔 / ラルフ・ファーマン -1'44"447 
9 22 MOTUL AUTECH Z ミハエル・クルム / 松田 次生 -2'03"315 
10 18 TAKATA 童夢 NSX 道上 龍 / 小暮 卓史 -1Lap 
GT100戦目で表彰を受ける

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GT100レース目となる今回、チームインパル+カルソニックカンセイが決勝レース前にGTアソシエーションからGTレースの発展に寄与したと特別表彰を受けた。表彰台には星野一義監督と弊社の中西敬二代表取締役副社長が登壇。坂東正明GT委員会長から表彰盾と花束を授与された。今回は94年のGTアソシエーション発足から数えて100戦目となるが、“皆勤賞”を受けたのはチームインパルとカルソニックが唯一だという(他にもメンテナンスで全戦参戦しているチームはあるが、エントリーチーム名が異なっている)。

星野一義監督
「100戦はアッという間の出来事でした。僕自身還暦を迎えましたがまだ若い気持ちでやっています。100戦、そしてこれからも150戦とまだまだ戦っていきたいと思います。最近は若い人たちのクルマ離れが心配ですが、レースで盛り上げていきたいと思います」

中西敬二代表取締役副社長
「星野さんのおかげで26年間やって来れましたし、星野さんの実績が会社をバックアップしてくれました。大変感謝していますし、今後も結果をきちんと残してくれるものと思っています。今後もGTレースのますますの発展を願っています」

最終戦終了後、スタッフに花束贈呈

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仮表彰式終了後、チームインパルのピットにおいて、今年1年間SUPER GTを戦ってきたドライバーとスタッフを労ってカルソニックカンセイから花束が贈られた。これは毎年最終戦終了後、恒例のイベント。今回はGT100戦という記念すべきレースで、優勝こそならなかったものの2位表彰台を獲得。最終戦を笑顔で飾ることができ、みなホッとした表情を浮かべていた。ファンの皆さん、1年間の熱い応援ありがとうございました!

NISMO FESTIVALでお会いしましょう!

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シーズンオフの恒例サンクスイベント、「NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY 2007」が12月2日(日)、富士スピードウェイで開催されます。今年はスカイラインGT-R、フェアレディZが中心で、グループAのカルソニック スカイライン(90年)、JGTCのカルソニック スカイライン(02年)、今年のSUPER GTを戦ったカルソニック インパル Zが走行します。星野一義監督、ブノワ・トレルイエ、星野一樹も参加しますので、ぜひ遊びに来てください。
詳しくはイベントの公式ウェブサイト(www.nismo.co.jp/event/festa2007)へ。

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