レースレポート
SUPER GT 第3戦5月3〜4日 富士スピードウェイ(1周:4.563km×109周)
3日 : 晴れ/ドライ、3万1,500人    4日 : 晴れ/ドライ、5万4,800人

カルソニック インパル Z
NA Zデビュー戦で10位入賞

予選5位/決勝10位   ドライバー部門:B.トレルイエ/星野一樹=14位/4点   チーム部門:12位/11点


ついに得たニューマシン。NAエンジンを搭載した07 Z は4月下旬のSUGOでシェイクダウン。しかし2日間のテストはトラブル続きで満足な走行はできなかった。
不安を抱えて入った富士では、予選ではブノワの攻めのアタックでZ勢最上位となる5位を確保。決勝レース序盤も2位を走るなど大活躍を見せたが、タイヤバーストのために後退。また後半には他車両と接触してサスペンションを破損するなど悪循環のレースとなった。



Copyright © Calsonic Kansei 
予選2位のマシンがフォーメーションでストップ。そしてスタートで予選5位から3位までポジションを上げたブノワは3周目の2コーナーで前回の優勝車両をかわして2位へ。トップとは4秒ほどの差だが、Z勢のトップを守ってアグレッシブなレースを展開していった。しかし16周目のコカ・コーラコーナーでブレーキトラブルのためにスピン。これが混乱の序章だった。


新車投入でようやく今年の開幕を迎えた感のあるチーム・インパル。4月19〜20日のスポーツランドSUGOで行われたシェイクダウンでは、燃料、エンジン、オイルなどありとあらゆるトラブルが起き満足なテストができなかったが、それでもポテンシャルの高いZを得て、スタッフたちは開幕の2戦よりテンションが高そうだった。

3日は朝から雲はあるものの晴天となった。富士山はざんねんながら雲に隠れたままだ。気温19℃、路面温度32℃とコンディションの中、10時40分から16台が参加して予選1回目、GT500の専有走行枠がスタートした。残り10分を切って主要マシンが次々にコースイン。ブノワは1分34秒575で2位につけたが、すぐに他車両に逆転され7位に。
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しかし翌周に1分34秒472にタイムアップして6位となった。しかしさらにブノワのタイムを上回る車両がいて、10位とスーパーラップ(SL)進出をほぼ手中にした。11時からの混走枠でブノワのタイムを上回る車両はなく、これでSL進出が決定。トップのタイムから1秒以内に11台がひしめくという激しい予選の中、5台がそろったNA Z勢のトップだった。

午後の予選2回目でセッティングを確認したブノワがトップバッターとしてSLに登場。予選に駆けつけた3万人以上のファンが、そして大勢の関係者が注目する中、ブノワは1コーナーで上下にで暴れるZを押さえ込みながらアグレッシブに攻める。なおも100R出口、ヘアピン進入、さらにネッツコーナーでは滑るZをねじ伏せながら、予選1回目より0秒5速い1分33秒949をマーク。これが基準タイムとなった。しかし後続の車両がブノワのタイムを破れない。6台目がアタックを終えてもブノワはトップ。これで5位以上が確定した。7台目の車両がようやくブノワのタイムを上回り結果的に5位。SLでポジションを5つ上げることに成功したのだった。もちろんZ勢最上位だ。「富士でいつもポールポジションを取っている#38SCよりも速かったことは誇らしい。レースでは表彰台も可能だと思う」とブノワ。星野監督も笑顔と握手でブノワをねぎらった。

4日は朝から五月晴れ。朝のフリー走行では満タン時のセッティングのチェックを入念に行い万全を期した。気温25℃、路面38℃というコンディションの中、14時05分にフォーメーションが始まった。スタンドや各コーナーには5万を超えるファンが陣取る。しかしフォーメーションの最中に予選2位の#1SCがスローダウンしてストップ。この車両の排除のためにフォーメーションがもう1周行われて、1周少ない109周のレースとなった。ブノワは1コーナーで3位に上がるとウェイトの重い#8NSXを攻め立てる。そして3周目の1コーナーには並んで侵入し、激しく牽制し合いながら2コーナー先で2位に上がった。やがて周回遅れが出てきてトップとの差は4秒に。16周目のコカ・コーラコーナーでブノワはスピン。これで7秒ほどをロスして3位にドロップした。「序盤からブレーキがスポンジみたいにスカスカで、何とか足をぶつけながらもブレーキングしていたんだけれど、足が抜けてスピンをしてしまった」とブノワ。

さらに19周目には#39SCに抜かれ4位に落ちたブノワだったが、しかしすぐに反撃。最終コーナーではアウトに膨らんだ#39SCのインを突いて並んだ。しかしそこへ#39SCが前を塞ぐように被せて来て2台は接触。#39SCはスピンを喫することになった。3位を守るブノワは懸命に2位の#38SCを追うがなかなか間隔は詰まらない。そして29周目のヘアピン立ち上がり先で段ボールを踏んだブノワは、直後のダンロップコーナーで曲がることができず直進。コースへ戻ったものの左フロントタイヤがおかしい。そのままピットインしたブノワはここで一樹に交代し、給油、そしてタイヤ4本を交換してコースへ復帰した。

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12位でコースインした一樹は、#100NSXに詰め寄られ2台はバトルを展開。しかし5周ほどのバトルの後、1コーナーで逆転を許した。しかし1回目のルーティーンピットが終了すると9位にポジションは上がっていた。53周目、4位を走行していた車両がGT300車両と絡み出火。この消火と車両排除のために赤旗が振られてレースは一時中断となった。昨年から何度も練習が行われていた新しいシステムによる再スタート方式で、メインストレート上にGT300とGT500の隊列が組まれた。一樹はトップ車両と同一周回上の8位で、まだ勝負権は十分にある。そして16時に周回のカウントをしながらフォーメーションラップが行われ55周を終了した時点でレース再開。1コーナーで上位の車両が接触する中、一樹は慎重にこれを回避して6位、さらには翌周には5位へ浮上。しかしタイヤもつらい状態で思うようにペースが上がらず、61周目には#6SCに先行を許し69周でピットイン、再びブノワに交代した。

給油とタイヤ交換を済ませたブノワは8位でコースへ復帰。しかし74周目、アウトラップの#3Zとネッツコーナーの手前で接触。2台はスピンを喫してしまった。この接触で左フロントのサスペンションを破損したZは力なくピットイン。メカニック懸命の作業で約10分で修復しコースに送り出したが、直後に接触行為により10秒ストップのペナルティが課せられることになった。表彰台を取るつもりで臨んだレースはトップから7周遅れの10位でフィニッシュ。1ポイントは獲得したものの、フラストレーションの残るレースとなった。


ブノワ・トレルイエ
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「最初のスピンでタイヤにフラットスポットを作ってしまったんだと思う。悪循環のレースになってしまったね。とにかくSUGOのシェイクダウンでトラブルが多くて、走り込みが足りなかったのが大きな原因。でも新しいZのポテンシャルは高いから、真夏の鈴鹿1000km優勝を目標にクルマを仕上げて行くよ。次のセパンはそれまでに走りこめないからどうだろう? まだまだ僕が満足できる仕様に仕上がってないし。もちろんチャンスがあれば(優勝を)狙っていくつもりです」


Rd. 3 FUJI GT 500km
- Friday,4 May, 2007 - Fuji Speedway
14:13 〜 109 Laps fine / dry
Pos No. Car Driver Time / Diff
1 23 XANAVI NISMO Z 本山 哲 / リチャード・ライアン 3:19'52"613 
2 22 MOTUL AUTECH Z ミハエル・クルム / 松田 次生 -2"114 
3 6 Forum Eng. SC430 片岡 龍也 / ビヨン・ビルドハイム -14"900 
4 3 YellowHat YMS モバHO! TOMICA Z セバスチャン・フィリップ / 柳田 真孝 -1'14"591 
5 100 RAYBRIG NSX ドミニク・シュワガー / 細川 慎弥 -1'27"642 
6 38 ZENT CERUMO SC430 立川 祐路 / 高木 虎之介 -1Lap 
7 35 BANDAI DUNLOP SC430 服部 尚貴 / ピーター・ダンブレック -1Lap 
8 39 デンソー サード SC430 アンドレ・クート / 平中 克幸 -1Lap 
9 8 ARTA NSX 伊藤 大輔 / ラルフ・ファーマン -1Lap 
10 12 カルソニック インパル Z ブノワ・トレルイエ / 星野 一樹 -7Laps 
星野監督、新車を得て語る

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「SUGOのシェイクダウンテストでは、ガソリン、オイル、ミッション、エンジンとありとあらゆるトラブルが出て、もう怒って途中で帰っちゃったよ。でも新しいZはポテンシャルが高いし、短い間でキャパを最大限まで引き上げたつもり。予選は1回目が結構(他車両とのタイム差が)詰まっていたから、ある程度までポジションは上がると思っていたけど、1分33秒9というのはブノワの力。ドライバーっていうのは失敗して大きくなっていくもの。失敗してもフォローするのが僕の仕事なんだ。そうやってブノワも失敗しながら速くなっていったんだよね。今は予選を見ていても感動を与えてくれるドライバーが少ないけれど、僕はそんな(感動する)ドライバーが好きだな。うちには優等生はいらないんだよ! 星野(一樹)がまだ新しいZに乗る機会が少ない? ドライバーというのは力を出せないと飯が食えない。速いドライバーの方がたくさん乗るチャンスがあるわけで、これは速くならないといつまで経っても乗れないもの。そういう世界なんだよね。 まだ新車の走り込みが満足じゃないけど、満タンの状態もいいし、ユーズドタイヤでのラップタイムも悪くない。SUGOで全部トラブルを出し切っていてくれれば、5月の富士は長いし、いつも何かがあるんだから、行けるチャンスがあればガンガン行きたいよね!」

(決勝前のコメント)

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6月23〜24日 セパン・サーキット(マレーシア)
8月1〜2日 ツインリンクもてぎ(栃木県)

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