レースレポート
SUPER GT 第3戦5月3〜4日 富士スピードウェイ(1周:4.563km×110周)
3日 : 曇り / ドライ、3万1,000人    5日 : 晴れ / ドライ、5万4,300人

予選12位から表彰台まであと1歩の
4位入賞をつかむ

予選12位/決勝4位   ドライバー部門:9位/16点、チーム部門:8位/13点


500km、110周レース終盤の99周目。4位走行中の星野一樹の背後に、同じZを駆る先輩ドライバーの本山哲が追いつく。そして2台はテールtoノーズのバトルに。今の日本一速い男・本山を日本一速い男のDNAを受け継いだ一樹が押さえ込む。本山も先輩の意地にかけて何度かチャンスをうかがう。一樹は周回遅れの車両も難なくかわして頑張る。しかし、104周目の最終コーナーで膨らんだ一樹のイン側を本山が駆け抜けていった。


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「自分のせいでポジションを守れなかった」。決勝後、一樹は悔しそうにつぶやいた。自分のスティント、1コーナーでGT300の車両に追突しそうになって急ブレーキ。この際、右フロントタイヤにフラットスポットを作ってしまったことで、タイヤの性能を十分に発揮できなくなり、ブレーキも厳しくなってしまったことが自分自身許せなかった。「中盤から後半はもっと速く走れたはずなのに、それに本山さんとももっといい勝負ができたはずなのに……」。周囲から「よくやった」と握手を求められても、「すみません」としか答えられなかった。

 今回、カルソニック インパル Zには特別性能調整ということで25kgのウェイトハンディが課せられた(ブリヂストンタイヤを履く、ZとNSXが対象)。昨年までのターボ車に対する高地ハンディ(リストリクター径を1ランクダウン)は廃されたが、最高速に勝るSC430勢のスピードにはかなわない。2日の練習走行はあいにくの雨模様となって各チームともドライセッティングのチェックができなかった。チームは4日のレースが好天になると読み、硬めのタイヤを選択した。

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 そして迎えた3日の予選1回目。ブノワ・トレルイエのアタックタイムは1分35秒436で12位。これでは午後のスーパーラップに残ることはできないが、「ソフトタイヤを履いたZのトップタイムと0.14秒の差でしょう? 仕方ないね」と高橋紳一郎テクニカルディレクターもサバサバとした表情。「決勝重視というわけではないけれど、レースは長いしミスさえなければポジションはもっと上がるでしょう」と続けた。午後の予選2回目、チームは満タンのセッティングを確認。「クルマは悪くない。OKだよ」とブノワも笑顔を見せた。

 4日のスタートは13時49分に切られた。スタートドライバーはブノワ。今回は2回のルーティーンピットを予定しており、最初の2スティントをブノワ、そして最後の1スティントを一樹が担当する。ドライバー交代を1回だけにして、ミスの可能性を少しでも減らそうという作戦だ。オープニングラップで#23 Zの松田次生に先行されたブノワだったが、ポールポジションの#1 SC430のトラブル、松田のスピンもあり5周目には11位へ。12周目には10位にポジションを上げたブノワだったが、14周目の13コーナーでスピン。しかしすぐに13位でレース復帰した。フルタンクでスタートしたブノワはルーティーンピットインをぎりぎりまで引っ張り、他の車両がほとんどピットインした40周目には暫定ながらトップに立った時点でピットイン。ピットクルーたちも停止時間わずか32秒と完璧なピットワークを見せて、ブノワを9位でコースに送り出した。

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 2回目のスティントでブノワは、51周目に#8 NSX、56周目に#22 Z、さらには61周目に#3 Zをかわして5位に。さらには#36 SC430のピットインもあり、68周の13コーナーで#32 NSXをかわして3位に浮上する走りを見せ、72周で2回目のピットイン。ここで一樹にバトンを渡した。

 一樹は7位でコースへ。他車両がピットインする間に79周目には4位へポジションを上げた。80周目、トップを走る#35 SC430との差は60秒ほどで逆転が難しいが、3位の#6 SC430との差も10秒ほどでなかなか縮まらない。一樹は1分37秒台の安定したタイムで周回をかさねていたが、ここに接近してきたのが#23 Zの本山だった。93周目の時点で8秒あった差を6秒、4秒と縮めてきた本山は、99周目に2秒差、そして100周目に1秒差まで迫った。パッシングを浴びせられながらも、一樹はバックマーカーをていねいに避けながらも本山をやすやすとは先行させない。ときおり本山も仕掛けるが、ついに104周目の最終コーナーで勝負がついた。

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 チェッカー目前となって3位走行中の#36 SC430に対し、安全規定違反の35秒ペナルティが課せられることになり、一樹は5位でチェッカーを受けながらも4位に繰り上がることになった。表彰台まであと1歩の走りを見せたカルソニック インパル Z。「僕たちは毎戦ステップアップしてるよ」とブノワも笑顔を見せたように、13位、6位、そして今回の4位ときちんと結果を残した。一樹も本山にプレッシャーをかけられながらナイスバトルを展開。これでもうひとまわり成長したことだろう。夏場以降のレースが楽しみになってきた!


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星野一義監督
「(レース終盤は)長かったね。本当に長かった。(一樹は)本山が相手じゃかなわないよ。まだまだだね。一気にブノワや本山みたく速くなれないし、徐々に速くなってくれれば。それでも今回は日産の中では2位という結果だし、みんなも頑張ったんじゃないのかな? 去年は速かったけどノーポイントというのが多かったけど、今年はこれまで3戦で全部ポイントを取ってるし。しかし疲れたよ(苦笑)」


Rd. 3 FUJI GT 500km - PROVISIONAL
- Thursday,4 May, 2006 Fuji Speedway 13:49〜110Laps fine / dry
Pos Car No. Driver Time / Diff
1 BANDAI DIREZZA SC430 35 服部 尚貴 / ピーター・ダンブレック 3:02'12.445 
2 Mobil 1 SC 6 飯田 章 / 片岡 龍也 -5.285 
3 XANAVI NISMO Z 23 本山 哲 / 松田 次生 -30.964 
4 カルソニック インパル Z 12 ブノワ・トレルイエ / 星野 一樹 -33.164 
5 ECLIPSE ADVANスープラ 25 織戸 学 / 土屋 武士 -40.447 
6 EPSON NSX 32 ロイック・デュバル / 武藤 英紀 -44.267 
7 ARTA NSX 8 伊藤 大輔 / ラルフ・ファーマン -54.667 
8 OPEN INTERFACE TOM'S SC430 36 脇阪 寿一 / アンドレ・ロッテラー -1'00.436 
9 MOTUL AUTECH Z 22 ミハエル・クルム / 山本 左近 -1'13.803 
10 WOODONE ADVAN KONDO Z 24 エリック・コマス / 柳田 真孝 -1Lap 
5月22〜23日 スポーツランドSUGO
6月24〜25日 セパンサーキット(マレーシア)

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