レースレポート

FUJI GT 300KM RACE
2005年 SUPER GT 第6戦 in 富士スピードウェイ(静岡県) 1周= 4,563m

カルソニック IMPUL Z
無念のノーポイントに終わる

SUPER GT第6戦は、9月24〜25日に台風が接近した富士スピードウェイにおいて開催され、ブノワ・トレルイエ/井出有治のカルソニック インパル Zは、予選12位からスタートして13位ゴールと不本意な結果に終わった。

予選

Copyright © Calsonic Kansei 

前回のツインリンクもてぎで3位表彰台を獲得したカルソニック インパル Zに、今回搭載されたハンディウェイトは40kg。富士スピードウェイは高地にあるため、NA(自然吸気)エンジン搭載車に対してリストリクター径を1ランク広げる措置が取られる。このため、NAエンジンのスープラやNSXには有利となり、ターボエンジンのZにとってはつらいコースとなる。このためZはレスダウンフォース仕様のリヤウィングを装着。その形状は上から見るとブーメランのようで、さらに翼端板は下方に大型化されている。さらには、フロントリップにはスプリッターのような立板を準備。金曜日の練習走行から、スプリッターとカナードの装着&取り外しを行ってセッティングを煮詰めていった。しかしカルソニック インパル Zは金曜日から精彩を欠いて、Z勢の中でも最もタイムが出なかった。

台風17号の接近で、予選日の朝は雨。しかしやがて雨は上がりコースも徐々に乾いていった。予選1回目、GT500の専有走行枠は10時40分に始まった。既にGT300の専有走行枠で路面は乾いてきていたが、セッション終盤の方が条件がいいと判断したチームは、まず今回アタック担当ではない井出をコースに送り出し、1分38秒796で基準タイムをクリアした。そしてブノワが乗り込んでアタックを開始、残り5分の時点で1分35秒960で2位につけた。しかしそこから他の車両が次々とタイムを更新。

GT300との混走枠でもタイムアップはかなわず。今回もトップから1秒の間に14台の車両がひしめき合うという厳しい予選で19台中13位という結果に終わり、スーパーラップ(SL)への進出もならなかった。しかし予選1回目終了後の車検で2位の車両の車重不足が判明し、すべてのタイムを抹消。カルソニック インパル Zは予選12位という結果になった。繰り上がってSL進出を決めた#22 Zとの差は、わずかに0.070秒差だった。

予選2回目は14時50分から15分間がGT500の専有走行枠。しかし直前から雨が落ちてきてウェット路面となり、セッティングの確認も思うようにできなかった。

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スタッフたちの迅速な作業の甲斐あって、15時30分から15分間走行できる予選2回目で、トラブルの解消も確認されたZ。タイムは2番目。スタッフもSLに向けて手応えを感じた。

そして迎えたSL。GT500のトップバッターはブノワ。自分で選んだZ.Z.トップのロックナンバーのBGMに乗って果敢に攻めていく。そして叩き出したタイムが、路面温度も下がっていたが予選1回目のトップタイム(1分46秒103)を上回る1分46秒074だった! そしてこのタイムは10台の走行を終えると、3台のNSX、スープラ、#3Zに続く6位に落ち着いた。

「2列目以内を狙ってアタックしたんですが、後に出たクルマの方が路面温度ももっと下がって有利でしたね。でも3列目だったらOKでしょう。明日は最低でも表彰台を確保したい」とブノワ。


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決勝

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台風17号は日本列島をかすめていき、富士は曇りながらところどころ青空が見えるようになった。朝のフリー走行ではカルソニック インパル Zは9位。Z勢の中ではトップだったが、トップから1秒近く離されており、まだ満足のいくものではなかった。

14時9分、4万4800人のファンが固唾をのむ中、66周の決勝レースがスタートした。1コーナーでは目の前の#3Zが接触でコースアウト。さらにコカ・コーラコーナーでは#25スープラがコースオフするなど激しいポジション争いの中、スタートドライバーのブノワは巧みに接触をかわして10位にポジションアップを果たした。しかし思うようにタイムが上がらない。周回遅れが出始めた8周目に11位に落ちると、周回遅れをかわすことに手間取ることもあり、1分38秒台のラップタイムが40〜41秒台に落ちていく。そして11周目から周回ごとにポジションダウンして13周目には14位まで後退してしまった。

レース中盤を迎えると、ルーティーンピットインが始まった。ブノワは30周目に9位でピットイン。しかしブノワの無線の調子が悪く、ピットでは作業の準備が万全ではなかった。タイヤ交換、給油、ドライバー交代を済ませて、井出が15位でコース復帰。そして主要チームのピット作業がひと段落した33周目には12位を走行していた。井出は場所によってオーバーステアやアンダーステアが出て思うように操れない中、何とかポジションをキープして走行していたが、終盤55周目のヘアピンコーナー進入で単独スピン。何とか13位でレースに復帰して、そのままチェッカーを受けた。

金曜日の出だしでつまづいて、そのまま終わってしまった感の強い今回のレースだったが、次のオートポリスではハンディウェイトも20kg軽くなり、活躍が期待できる。残り2戦で巻き返しを、そして最終戦では昨年同様、優勝を狙う!



ブノワ・トレルイエ選手
「2週間前に鈴鹿で行われた合同テストでは良い感触でした。でも今回は最後までセッティングを煮詰めきれずにクルマのバランスが悪く、思うような走りができず、コーナー出口で他のマシンに置いて行かれてしまいました。富士で応援してくれたファンの皆さんには申し訳ありませんでしたが、次のオートポリスではいい結果を残したいです」
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RACE RESULTS
Sunday,25 September, 2005 Fuji Speedway
[START:14:09〜66Laps Cloudy / Dry ]
Pos Car Name No. Driver Name Time/Diff
1 ZENT セルモ スープラ 38 立川 祐路 / 高木 虎之介 1:49'02.070
2 EPSON NSX 32 松田 次生 / アンドレ・ロッテラー -1"689
3 エッソウルトラフロー スープラ 6 脇阪 寿一 / 飯田 章 -15"181
4 G'ZOX・HASEMI・Z 3 金石 年弘 / エリック・コマス -18"210
5 DYNACITY TOM'S SUPRA 36 土屋 武士 /ジェームス・コートニー -43"017
6 イエローハットYMSスープラ 35 服部 尚貴 / ピーター・ダンブレック -44"986
7 OPEN INTERFACE TOM'S SUPRA 37 片岡 龍也 / 山本 左近 -45"158
8 ARTA NSX 8 伊藤 大輔 / ラルフ・ファーマン -45"687
9 モチュール ピットワーク Z 22 ミハエル・クルム / 柳田 真孝 -50"196
10 ザナヴィ ニスモ Z 1 本山 哲 / リチャード・ライアン -51"328
13 カルソニック インパル Z 12 ブノワ・トレルイエ / 井出 有治 -1'37"721

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井出、ポケバイに転向!?

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井出が借り物のポケバイでレースにも参戦し、本人は参戦に非常に意欲的だという噂が流れてきた。

本人に確認すると、これは9月19日にさいたま市のサーキット秋ヶ瀬で行われた「ドリームチャレンジカップ」(主催:本山 哲)で味をしめためらしい。イベントは子どもたちを対象にしたカート&ポケバイ大会だったのだが、井出もこれに参加して、生まれて初めてポケバイを体験したのだった。「昔から乗りたくてしょうがなかったんですが、親が危ないって反対してたので。40ccのオートマのバイクだけど70km/h出るんですよ!」と目を輝かせた。「本山さんは昔やってたから全然かなわなかったけど、(星野)一樹に抜かれちゃって……。でも楽しいしたまには楽しいかなって思って、既にオーダー入れちゃいました。1台15万円するんですけど(笑)。もちろんケガしないように、ちゃんとツナギも着てグローブもはめてね」

バイクのカラーもMoto GPを真似てレプリカ風にすることも検討中。日産系のドライバーや関係者を集めて10人近くが参戦することになりそうだが、このシーズンオフ、新たな遊び道具をゲットした彼らの動きが、ちょっと面白いことになってきたようだ。

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