レースレポート

SUGO GT 300KM RACE
2005年 SUPER GT 第4戦 in スポーツランドSUGO国際レーシングコース(宮城県) 1周= 3.704256km

カルソニック IMPUL Z
荒れたレースを5位でフィニッシュ

SUPER GT第4戦は、7月23〜24日に宮城県のスポーツランドSUGOにて開催され、ブノワ・トレルイエ/井出有治組のカルソニック インパル Zは、ポールポジションからスタートしたものの、第2パートのスタート直後に他車両に押されてコースアウトを喫しながらも、両ドライバーの追い上げにより5位でフィニッシュ。目指した優勝はならなかったが、2戦連続でポイントを獲得。次のもてぎ戦に期待を持たせる結果となった。

予選

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今回、カルソニック インパル Zにはウェイトハンディキャップの搭載はなく、トップ争いが期待された。何としてでも日産車初のSUGOラウンド優勝を収めたいところ。実際、22日に行われたフリー走行でもカルソニック インパル Zは、雨の午前中のセッションでトップ。最後の15分だけドライコンディションとなった午後のセッションでも3位と好調をキープした。

23日の予選日は晴れ。GT500の専有走行枠は、GT300の走行枠で赤旗中断があったために25分遅れの10時55分に開始。今回、カルソニック インパル Zのアタッカーは井出。開始11分、気温は21〜23℃、路面温度は18℃と低いため、コースインした井出はゆっくりタイヤを暖める。そしてまずコースレコードを更新した1分17秒140をマークするが12位。しかしこれではスーパーラップ(SL)には進めない。井出は次の周、1分16秒495にタイムアップして4位。さらに最後に渾身のアタックを決めて1分16秒100! しかし何とトップの#18NSXに1000分の1秒及ばず2位となった。「最後の前のラップがタイヤ的にはベストだったんですが、他の車両に引っかかってブレーキを踏まなくていいところで踏まなければならなかった」と残念がった。しかしこれでSLが面白くなってきた。直後の混走枠でブノワも基準タイムをクリアした。

午後の予選2回目で、SL進出の12台が決定。井出は最後の枠に走行する。しかし3番目の走行枠で#8NSXがスピンして中断。このとき4番目の枠に走行する#32NSXと#22Zは既にゆっくりとコースインしており、この2台は規定どおりに最後の走行枠に回されることになった。

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結果的に5番目の走行枠で井出と#18NSXがコースイン。しかし#18NSXは馬の背でコースアウト。井出は1分15秒994というタイムでトップに躍り出た。笑顔で出迎える星野一義監督。誰もがカルソニック インパル Zのポールポジション獲得が決まったと思った。しかし最後の枠に出走した#32NSXが1分15秒810と井出のタイムを逆転。ピットは一瞬にして沈黙に包まれた。

ところが#32NSXは待機している間に給油を行ったことが分かり、NISMOチームから抗議が出された。今年の第2戦以降、SL中のピット作業は一切禁止されることになっており、本来給油はできない。このため、SLで走行する4周分以上に余裕を持たせてガソリンを積んでおくことが必要だった。しかしオフィシャルが#32NSXに対して「給油してOK」と伝えたために、数度確認をした後に給油をしてしまったのだった。

禁止されている作業をしたことで、本来はSLのタイムがすべて抹消されるはずだったが、オフィシャルの不手際もあり重々酌量の余地ありと判断され、#32NSXのグリッドポジションがひとつ降格という形で落ち着いた。結局正式結果が発表されたのは、何と日付が変わる直前の23時47分だった。

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決勝

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24日は朝から晴れとなり、夏休みとあって5万300人ものファンが朝早くからSUGOに詰め掛けた。気温は25℃前後あるが、風が涼しくしのぎやすい。14時8分、81周の決勝レースがスタートを切った。スタートを決めた井出は隊列の先頭で快調に周回を重ねていった。6周目に2位#32NSXに2秒4の差をつけた井出だったが、周回遅れが絡んできて2台は急接近。ところが12周のコントロールラインを通過した直後に、ホームストレート上で激しい炎が上がった。後続の車両が接触して1台がクラッシュしたと同時に炎上したのだった。

ドライバー救助と消火のためにレースは中断され、それまでの10周は第1パートとして成立。残りは68周レースとして行われることになった。15時20分、第2パートがスタート。しかしここで井出は痛恨のホイールスピンで出遅れ、1コーナーまでに#32NSX、#100NSXに抜かれてしまった。さらに1コーナーのコーナリング中に後続の#6スープラに押されてコースアウト。何とかコースに復帰したが、16位にまでポジションダウンを喫することになってしまった。

ここから井出は渾身の走りでリカバリーを開始。2周目に15位、4周目に14位、6周目に13位。周回遅れが絡んできてオーバーテイクが厳しくなるが、12周目に12位、9位争いの4台のバトルに加わって15周目に11位、20周目には10位までポジションを回復。さらに21周目には9位、22周目には8位、23周目には7位と驚異的な追い上げを見せた。ところが途中、他車両とのバトルの際の接触により左タイヤが切れペースダウン。27周目にピットインしてブノワに交代した。

いったんポジションを14位にまで下げたカルソニック インパル Zだったが、29周目にはトップの#100 NSXが他車両と接触してリタイアしたこともあり、難なく11位にポジションを上げた。35周でほとんどの車両がルーティーンピットインを済ませると、ブノワは7位を走行していた。ここは少しでもポジションを上げておきたいところ。

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前には#36スープラがいて、ブノワはまずこれに追いつきプレッシャーをかけた。40周目に90kgのウェイトを搭載して動きの鈍い#1 Zをかわして6位。2位の#32 NSXが#6スープラに接触されコースアウトしたこともあり、52周目にブノワは5位に。いったん#36スープラに2秒4まで差を離されたブノワだったが、54周目には再び0秒8まで急接近。しかし既にタイヤはパフォーマンスを失っており、逆に引き離されていった。

56周目には#6スープラが接触のためにピットロードのドライブスルーペナルティを受け、ブノワは4位までポジションを上げたが、63周目の馬の背で逆転された。ファイナルラップで今度は#8 NSXがブノワに追いつき、ハイポイントコーナーや最終コーナーで仕掛けられたが、ブノワも最後の力を振り絞って5位を守ってゴール。予選トップの2点、5位の8点、決勝レースの最速ラップ(井出)の1点を加算した。

なお第5戦のツインリンクもてぎでは、ウェイトハンディが20kg(予選1位の10kg+決勝ベストラップの10kg)と軽量なので、次回もカルソニック インパル Zにはトップ争いのチャンスがあるだろう。


井出有治選手
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「メインストレートには消火後の水が流れていて、わざとホイールスピンさせてタイヤを乾かしたんですが、グリーンランプが点灯した際にホイールスピンをさせてしまいました。3位で1コーナーに入ったので、まだチャンスはあったのですが、コーナリング中に押されてしまってコースアウトせざるを得ませんでした。それと追い上げの際に接触があってタイヤが切れてしまいました。ピットインしたんですが、インラップで20〜30秒のロスがあって、これがなければ……。次のもてぎでは車重が重いとつらいのですが、僕たちは20kgだけで済むので、いいパフォーマンスを見せられると思います!」

RACE RESULTS
Sunday,24 July, 2005 Sportsland SUGO International Course
[ PART ONE:14:08〜10Laps PART TWO:15:20〜68Laps Cloudy / Dry ]
Pos Car Name No. Driver Name Time/Diff
Pos Car Name No. Driver Name Time/Diff
1 DYNACITY TOM'S SUPRA 37 片岡 龍也 / 山本 左近 1:31'34"082
2 デンソー サード スープラGT 39 アンドレ・クート / ロニー・クインタレッリ -15"560
3 DYNACITY TOM'S SUPRA 36 土屋 武士 / ジェームス・コートニー -17"918
4 エッソウルトラフロー スープラ 6 脇阪 寿一 / 飯田 章 -18"584
5 カルソニック インパル Z 12 ブノワ・トレルイエ / 井出 有治 -30"907
6 ARTA NSX 8 伊藤 大輔 / ラルフ・ファーマン -30"943
7 モチュール ピットワーク Z 22 ミハエル・クルム / 柳田 真孝 -35"963
8 ザナヴィ ニスモ Z 1 本山 哲 / リチャード・ライアン -43"604
9 イエローハットYMSスープラ 35 服部 尚貴 / 脇阪 薫一 -1'16"742
10 ECLIPSE ADVAN スープラ 25 織戸 学 /ドミニク・シュワガー -1'38"868

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ブノワ、二輪時代を語る

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写真は6歳のころのブノワ(右からふたり目)
「僕は12歳までモトクロスをやっていました。父がモトクロスが好きで遊びでやっていたんですが、小さいときに『一緒に乗りたい』って頼んだんです。そこでポケットバイクを買ってもらってレースにも出始めました。10歳のときにヨーロッパの60ccジュニアカップでチャンピオンを取って、翌年は80ccクラスでチャンピオン争いをしていたけど、転倒してダメになっちゃいました。翌年は自分より年上で体の大きな選手と一緒のクラスに上がったんですが、体力的にはかなわなくて飛ばされたりして、意識を失うような事故もありました。上のクラスに出ることで同じ歳の仲間もいなかったし、父と相談してモトクロスはやめることにしたんです。
オートバイレースって体のセンサーが大事で、特にドライビングではバランス感覚が肝心なんですね。それはカーレースやスキーでも一緒で、いいライダーはカーレースでもスキーでも速いんです。星野さんもモトクロス出身なんですが、アドバイスは結構もらいますよ。特にウェット路面ではトラクションやアクセルワークに気をつけなければいけないんですが、実はそれってモトクロスの基本中の基本なんですね。時々星野さんが『2輪の感覚で走れ』って鋭いことを言ってくれるんです。すぐにハッと思い出して、ドライビングに反映させています。そんな監督にアドバイスをもらえるなんて夢のようですよ。第2の家族のような仲間がいる素晴らしいチームにいることができて、本当に幸せですね

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