第6戦 JAPAN GT in 九州 300km

MOTEGI GT CHAMPION RACE
第6戦 in オートポリス(大分県) 1周= 4,674m

カルソニックIMPUL Z、予選15位から
怒涛の追い上げで5位フィニッシュ!

全日本GT選手権(JGTC)第6戦は、10月30〜31日に大分県のオートポリスで開催され、ブノワ・トレルイエ/井出有治組のカルソニックIMPUL Zは、予選15位からスタートして一時は2位争いのグループまでポジションアップする活躍を見せ、5位でフィニッシュした。

予選

昨年に引き続き開催された九州ラウンド。オートポリスは阿蘇外輪山の裾野にあり、また天気予報も週末はぐずつくと報じており、荒れる展開になるのではないかと予想された。またサーキットが高地にあるため、規定によりNA(自然吸気)エンジン搭載車両にはリストリクター1ランクアップの優遇措置が取られた。このためターボマシンであるフェアレディZにとっては、我慢のレースとなりそうだった。しかしカルソニックIMPUL Zのウェイトハンディは40kgとランキング上位の車両に比べ軽いため、Zのパフォーマンスを見せる格好のチャンスでもあった。

30日、予選日の朝は明け方まで降った雨の影響で、コースは一部濡れたところがあった。10時40分からの20分間がGT500クラスの専有走行枠だったが、セッション終盤にコースインした井出は1分57秒521でGT500クラス17台中14位にとどまった。11時20分からの20分間は、GT300との混走枠。コースは完全に乾きタイムアップが望めそうだった。コースが混雑する中、井出がコースインして1分48秒452にタイムアップしたが、14位というポジションは変わらず。終盤にはブノワもコースインして基準タイムをクリアした。

予選2回目は14時50分から始まった。天候は回復してきたが路面温度がやや上がり気味。セミウェットコンディションであった前日の練習走行で、ドライ用のセッティングが煮詰めきれていなかったチームは、午後の予選を燃料を満タンにするなど決勝に向けてのセッティングに費やすことにした。このセッションで1分46秒422のベストタイムをマークしたが、総合予選結果は15位。ただし決勝に向けてはスタッフそれぞれが大きな自信を持つことができた。しかし心配なのは翌日の天気。天気予報では、阿蘇地方は雨、西部の菊池地方は曇りとレポートしていたからだ。

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決勝

31日の朝、サーキットは濃い霧に包まれた。しかし日が昇るにつれ霧は晴れていった。サポートレースやピットウォークの間に雨がポツポツと降ったものの、徐々に天候は回復。決勝レースのローリングラップが始まる14時には薄曇りとなった。

3周のローリングの後、63周の決勝レースがスタート。直後にコースアウトした車両が2台あり、スタートドライバーを務めた井出は難なく13位へポジションアップ。前週のフォーミュラ・ニッポンでうれしい初優勝を飾っている井出は、ここで無理をせず燃費走行をしながらも、#36スープラ、#18NSX、#38スープラなどと5台による11位争いのグループの中でバトルを展開していった。

14周目には#18NSXをかわして12位、#37スープラを抜き11位、さらに21周目には#8NSXをオーバーテイクして10位と、井出は慎重にかつ確実に他車をパスしてポジションアップ。24周でトップ争いを演じていた#6スープラがピットイン。25周目には前回優勝の#32NSXをパスして8位、さらには上位陣が早めのルーティーンピットインに入ると、井出は3位までポジションアップして31周でピットイン。チームスタッフは給油、タイヤ交換など迅速なピットワークを見せ、パーフェクトな動きでブノワをコースへ送り出した。

バトンを受けたブノワは8位でコース復帰。タイヤが暖まるまでに#38スープラにかわされはしたが、すぐに抜き返して#100NSXをも抜き去り6位へ。そして#36スープラに追いついてテールtoノーズの状態に。さらに総合トップを行く#1Zと遜色ないタイムをマークしながら、2位争いの集団に追いついていった。

終盤53周目には、6位というポジションながら、2位#25スープラとの差はわずか2秒4で、ここでは5台の車両が激しいバトルを演じていた。行き詰る2位争いは、54周目の第2ヘアピンで3位の#6スープラが接触されスピン。それを無事に避けたブノワは4位へ。しかしここまでのバトルでタイヤを使いきったのか、同じくペースの落ちた#36スープラを抜けず2位#25スープラと3位#39スープラとの差は開いていった。58周目にようやく#36スープラをパスしたブノワは4位に浮上したがタイヤのライフはほぼ終わっており、ファイナルラップでシリーズランキングトップの#6スープラに逆転を許し5位でチェッカー。

残念ながら表彰台は逃したものの、4万9500人ものファンにパフォーマンスをアピールすることができた。また結果論ではあるが、5位でゴールしたことにより最終戦ではウェイトハンディは加算されない。鈴鹿のテスト結果も良好であったこともあり、40kgという“勝負のできる”車重で、最終戦は優勝争いができるのではないかと期待される。

最終戦は11月20〜21日に鈴鹿サーキットで開催される。また、12月18〜19日にアメリカのカリフォルニア・スピードウェイ(ロサンゼルス郊外フォンタナ)で行われるJGTCオールスター戦にも、正式に出場が決定した。


ブノワ・トレルイエ選手
「クルマの調子が良くプッシュしましたが、#36スープラとバトルをしている間にフロントタイヤのグリップがなくなってしまいました。これまでは不運なアクシデントが多かったのですが、本来のパフォーマンスを見せられたと思います。最終戦では優勝を狙って頑張りますので、応援してください!」

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ブノワ、ラジコンに夢中

ラジコンに囲まれニッコリのブノワ。では、彼に紹介してもらいましょう。「左のTAMIYAのスカイラインは、去年NISMOフェスティバルでバースデープレゼントとして頂いたもの。ドリフト用(スペシャルタイヤ&パワーアップした電気エンジン)に改造して楽しんでいます。御殿場のIMPULでエンジニアのスギ(杉崎氏)とエンジョイします。ふたりとも上手くはありませんが、スタッフも交え、楽しい一時となっています。真ん中のSAVAGE 25は今年ラジコンメーカーのHPI Racingさんから頂いたもので、オフロードの面白いラジコンです。この写真を撮った後に#12のカルソニックカラーにペイントしました。この4×4は10m近くもジャンプするんですよ、信じられないでしょ? それと、まだ組み立てる時間がないけど、ガソリンで動くラジコンをミスター・ホシノ(星野監督)からもらいました。まさに僕が欲しかったもののひとつ。早くドライビングしたいね。次から次へやることがあって忙しいよ!」

井出有治、ファンに人気!

カルソニックIMPUL Zのドライバー2名は、いつもファンに対してサインや記念写真にきさくに応じているが、今回は井出がファンに囲まれるシーンが多く見られた。前の週にフォーミュラ・ニッポン初優勝を飾っており、また特に女性や子どもに絶大な人気を誇る(?)井出には熱心なファンからのプレゼントも。ちなみにブノワも簡単な日本語はOKなので、気軽に声をかけてくださいね! レース前、場内放送で解説を務めた福田良選手が井出にインタビュー。福田選手は現在こそレースには出場していないが、フランスF3では井出の先輩で、昨年前半はフォーミュラ・ニッポンで井出のライバルだった。スタートはどうしますか?との問いかけに井出は「もちろんジャンプアップ!」と自信ありげに答えていた。

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