第5戦 もてぎGTチャンピオンレース

MOTEGI GT CHAMPION RACE
第5戦 in ツインリンクもてぎ(栃木県) 1周= 4,801.379m

カルソニック IMPUL Z
不運なアクシデントに遭いリタイア

JGTC第5戦は9月4〜5日に、栃木県のツインリンクもてぎで開催され、ブノワ・トレルイエ/井出有治のカルソニック IMPUL Zは、6位からスタートし、決勝レースでも優勝を狙って走行していたが、中盤GT300車両との接触が原因で左フロントタイヤにスローパンクチャーが起き、コースアウトしてリタイア、ポイントを加算することはできなかった。

予選

第5戦の舞台はツインリンクもてぎのロードコース。台風18号の影響による秋雨前線が停滞し、不安定な天候が予想されていた。4日の予選日はどんよりとした曇天。気温も25℃前後と、灼熱の8月上旬に行われたタイヤテストのデータは、ほとんど参考にできない天候となった。今回、カルソニックZのウェイトハンディは40kg。多少ブレーキに負担はかかるであろうが、表彰台、さらに優勝を狙えないこともない。気になるのは8月下旬の鈴鹿1000kmで優勝したNSXの熟成具合。8月の合同テストではトヨタ勢が好調だったが、ここもてぎはホンダのホームコースであるだけに、ホンダ勢の巻き返しがあるかもしれない。

予選1回目は10時からの20分からがGT500の専有走行枠。コースはドライながら雨がパラパラと落ちて、コントロールタワーからは「WET」宣言が出るものの、全車がドライタイヤでコースインした。真っ先にコースインしたブノワはコースを確認して、1分48秒105とまず基準タイムをマーク。そして5周でピットインして今回のアタック担当の井出にスイッチ。井出は2周目からアタックに入り1分52秒190、1分51秒359、1分50秒781、1分49秒124とタイムアップするが、路面コンディションは好転せずブノワのタイムを更新できずに終了することになった。実際、この枠の前半にアタックをかけたチームが上位に並ぶことになった。

GT300の専有走行枠が終了すると全車混走の枠となる。まずブノワが1セット目のタイヤでコースを確認してみたが、最初のGT500の枠よりコンディションが良くなっていたため、1分47秒923とタイムを更新することができた。ここでチームは作戦を変更し、2セット目のタイヤを履いてアタックをかけることにした。天気予報では午後は雨の確率が高くなっている。セッション終盤、1分47秒078のタイムを出してトップに躍り出たブノワだったが、#25スープラがわずかに逆転して2位で予選1回目を終えることになった。

予選2回目は15時20分からがGT500の専有走行枠。しかし予想された雨は降らず、2セット目のタイヤを温存していたチームがタイムアップを果たしていった。カルソニックZは予選2回目は決勝用のセッティングを確認。結果、予選総合結果は6位というまずまずのポジションをキープすることができた。

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決勝

4日予選後、もてぎは雷雨に見舞われた。5日の朝も雨脚こそ弱まっているものの傘が必要な天気。それでも早朝から熱心な5万1000人ものファンがサーキットに詰めかけ、グランドスタンドやパドックは非常に賑わった。ウェットコンディションとなった朝のフリー走行では、カルソニックZはポールポジションの#1 Zに続く2番手となるタイムをマークし、決勝レースに向けて順調に来ていることを示した。

決勝レースのグリッド整列時には雨は上がったもののコースは濡れている部分があり、非常に微妙なコンディションではあったが、GT500の車両はすべてが浅い溝のレインタイヤをチョイスした。
14時に63周の決勝レースがスタート。5番グリッドにいるはずの#38スープラは朝のフリー走行でクラッシュを喫しピットスタートとなるため、カルソニックZは実質5番手スタートとなる。スターターはブノワが務めた。ウェットコンディションで滑りやすい路面に気をつけながら、ブノワは1周目の5コーナーで#25スープラを捕らえパス。しかし背後から#32NSXに迫られ3周目の1コーナーでポジションを譲って5位へ戻ることになった。4周目からは5台ほどによる3位争いが熾烈になったが、8周目にスピンを喫し9位にドロップしてしまった。しかし12周目には7位、15周目には再び#25スープラを抜き6位、さらに21周目には#1 Zを抜き5位へポジションアップしていった。
やがて路面が乾きだし、スリックタイヤに履き替えるために早めのピットインを行う車両があり、その間にブノワも29周目に3位まで順位を上げて30周目にピットイン。スリックタイヤへの交換、給油、ドライバー交代を行って井出がコースへ復帰すると、ポジションは5位になっていた。井出は逆転での表彰台の中央を目指し、まず前を行く#6スープラを追った。

ところが34周目のSカーブのアプローチでGT300の車両をかわそうと右に入った際に、GT300マシンが寄ってきて接触。右タイヤはダートに落ちそうになったが、何とか持ちこたえた。しかし既に井出の左フロントタイヤは、先ほどの接触で既にスローパンクチャーを起こしており、ホームストレートでは#25スープラにかわされ、#1 Z、#39スープラと4台で1コーナーに入っていったように見えたが、井出はコースアウト。これでカルソニックZのレースは終わってしまった。
不運なアクシデントのために3戦連続で決勝がノーポイントとなったカルソニックZ。気分をリセットして、残り2戦で2勝を目指すしかない。

ブノワ・トレルイエ選手
「路面がダーティだったこと。フロントグラスの汚れが取れなかったんです。コーナーのクリッピングポイントが良く見えなかったし、濡れているのかいないのかも確認できなかった。それでミスしてしまいました。そのうち雨がまた降り出して視界が開けて、挽回して6号車の前でユウジに渡しました。僕たちは常に速かったけど、常にいろいろありました。チームとカルソニックに申し訳ない結果になってしまいました。次のレースでは結果が残せるように頑張ります」

井出有治選手
「コースに出て徐々にタイヤを暖めていって、前を行くスープラと同じペースになってこれから追いかけようというころ、GT300マシンに寄せられて真横に当てられてしまったんです。ドライバーには『序盤にコースアウトしてミラーが汚れていて見えなかった』と謝られましたが…。その周の最終コーナーではもうタイヤに振動が出ていて、次ピットに入ろうと思っていたんですが、1コーナーではタイヤがもう限界で曲がることもできませんでした。残念です」

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星野監督のデモランは残念、中止に

今回、雨のために中止になってしまったが、決勝日のピットウォーク中にメモリアルパレードを行う予定だった。これはNISMOの創立20周年記念イベントとして企画されたもので、ザナヴィ ニスモGT-R(03年JGTC)、ニッサンR390 GT1(98年ル・マン)、カルソニックニッサンR92CP、カルソニックスカイライン(93年Gr.A)の4台が走行の準備をしていた。そしてカルソニックスカイラインのドライバーは、なんと星野一義監督だったのだ。レーシングスーツに着替えて準備万端の星野監督も、大勢詰め掛けたファンを喜ばせたかったようだが、天候には勝てず。このレーシングスーツ姿は、NISMOフェスティバル(11月28日予定、TIサーキット英田)まで、お預けかもしれない。

お楽しみ企画掲載予告

JGTCは次のラウンド(オートポリス/10月30〜31日)まで2か月近くインターバルができるため、10月上旬にお楽しみ企画を掲載予定です。内容はカルソニックIMPUL Zのコクピット解説。GT500仕様のフェアレディZはテスト車両を含めると5台存在するが、コクピットは1台1台微妙に異なっている。ウィンカーレバーもワイパーレバーもないコクピットで、ドライバーはいったいどのようなスイッチを操作しているのか? さらにどのような情報がもたらされるのか? さらに井出選手とトレルイエ選手で異なるコクピットのセッティングがあることが判明! 近い将来カルソニックZのドライバーになったときに困らないように、この企画で勉強しておくことをおすすめします! 忘れないようにときどき覗きに来てください!

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