オートポリスJAPAN GT in KYUSHU 300km

SUZUKA GT 300km
第8戦 in 鈴鹿サーキット(三重) 1周= 5.807km

カルソニックスカイライン 激戦を制し今季2勝目を挙げる!

予選

全日本GT選手権(JGTC)最終戦となる第8戦が、11月15〜16日に三重の鈴鹿サーキットで開催され、ブノワ・トレルイエ/井出有治組のカルソニックスカイラインが、終盤の激しいバトルを制して優勝。第4戦富士に続く今季2勝目で、シリーズポイントもドライバーズ部門4位、チーム部門5位で今シーズンを終了した。

11月15日は朝こそ日差しがあったものの、雲が増えていつ雨が落ちてきてもおかしくないような不安定な天候となった。気温16℃ながら湿度が高く、さほど寒さは感じない。11時から公式予選の1回目が始まった。カルソニックスカイラインは、既にチャンピオンを争う権利は失っているが、ウェイトハンディも20kgと軽いこともあり、前回のようなアグレッシブな走行を見せファンの期待に応えたいもの。同じスカイラインGT-Rでシリーズを戦うNISMOチームの本山哲とミハエル・クルムがチャンピオンを獲得するためにも、場合によってはアシストが必要になる可能性もあった。しかし星野一義監督は「今回はGT-R最後のレースなんだし、そりゃうちが勝って、本山らがチャンピオンを取るのが一番だよ」と苦笑した。
最初の20分間はGT500クラスの占有走行枠。そして残り11分の時点で、コースアウトして動けなくなった車両があったために8分間の赤旗中断。再開後、3番目にコースインしたブノワは、1分56秒239のタイムで5位につけた。直後にこれを上回るタイムが出て、結果8位となった。
15時からの予選2回目の直前に雨がパラパラと落ちたが、コースすぐに乾き、大きな影響はなかった。15時40分からの20分間がGT500の占有走行枠。路面温度が低くなっているのか、すぐにタイヤが温まらないようで、タイムアップをする車両がなかなか出てこない。ここで2セット目のタイヤを履いたブノワは残り4分の時点で、1回目のタイムを上まわる1分56秒037のタイムを出し7位へポジションを上げることに成功した。

ブノワ・トレルイエ選手
「朝はアンダーステアがきつかったので、午後はセッティングを変えました。それで少しは良くなったんですが、コースコンディションもあまり良くありませんでした。でも決勝レースは前回のオートポリスでも良かったし、大丈夫でしょう。クルマも軽いし優勝を狙いますよ!」

ページトップへ

決勝

前夜の雨も上がった16日の決勝日。朝のフリー走行ではウェットコンディションだったが、カルソニックスカイラインは3位のタイムをマークして、決勝レースに期待がかかった。サポートレースが行われるころにはすっかりドライコンディションとなり、決勝のフォーメイションラップが始まるころには気温も20℃前後に。
14時5分、グリーンシグナルになると、スターターのブノワは1コーナーで予選6位の#1スープラをかわし、さらにはヘアピンで#22GT-Rを抜き去り5位に浮上。さらに2周目にはこのレースのファステストラップとなる1分58秒201のタイムを叩き出して前を追った。3位グループに追いついたブノワは、5周目のシケインで#38スープラをも抜き4位へ。10周目にトップを走行していた#25スープラがアクシデントを避けようとコースアウトして、これでカルソニックスカイラインは難なく3位となった。ブノワの直前を走行するのは同じフランス人ドライバーのセバスチャン・フィリップがドライブする#18NSXだが、ブノワも無理に勝負を仕掛けない。
22周でトップの#23GT-Rがルーティンピットに入るとポジションは2位に。そして52周のレースの折り返し点よりわずか前となる24周で、ブノワがピットインして井出に交代。ピットワークも決まり#23GT-Rより前の7位でコース復帰した。26周で#18NSXがピットインし、井出の8秒後方でコースイン。トップグループのピットインが30周でひと段落すると、井出がトップで、以下#18NSX、#23GT-R、#22GT-Rに。井出はしばらくプッシュしたが、後半のタイヤの消耗を考えタイヤを労わる走りに切り替えた。このため一時は9秒近くあった#18NSXとの差が徐々に詰まりだし、終盤はバックマーカーに引っかかるタイミングが悪く47周目にはその差はわずか2秒2、さらに48周目の130Rでもバックマーカーに引っかかり差は0秒5に。
49周目のヘアピンコーナーからスプーンカーブにかけては、#18NSXの道上龍に並ばれそうになるがこれをこらえた。直後のシケインでは曲がりきれずに痛恨のコースアウト。この際に#18NSXに先行を許すが、井出はまだ諦めない。そして第2コーナーで道上は外に膨らんだ直後に、井出との接触があったのかスピン。道上はタイヤバリアに突っ込むが、何とかポジションキープでコース復帰するも井出には追いつかず、井出がそのまま逃げ切って歓喜のゴール。今季2勝目を挙げ、このレースを最後にレース参戦を一時休止するGT-Rの花道を飾った。
なおレース後、#18NSXは抗議を提出したが、大会審査委員会裁定に控訴を提出する意思を示したため、正式結果は保留とされ、後日JAFの裁定後に発表されることになった。

注)
全日本自動車連盟(JAF)は、2003年全日本GT選手権第8戦(11月15〜16日、鈴鹿サーキット)において童夢レーシングチームが提出した控訴について審査の結果、これを棄却する裁定を下しました。これに伴い、同競技会の競技結果成績は、当日発表された「決勝暫定結果表」の順位で確定しました。
(2004年1月28日発表)

ブノワ・トレルイエ選手
「スタートは良くなかったんですが、ソフトコンパウンドのタイヤを履いていたこともあり、タイムを安定させて無理しないように走りました。後半はユージも頑張ってくれたし、GT-R最後のレースで勝ててよかったです」
井出有治選手
「残り10周ぐらいで応援の真っ赤な日産の旗が見えていたんですが、自分も勝ちたいし、みんなのためにも勝ちたいと強く思いました。チャンピオンは取れませんでしたが、自分の走りはアピールできたと思います」

ページトップへ

Topics
GT-R最後のレースについて

日産自動車とNISMOは、来年のJGTCのGT500用車両にフェアレディZを投入することを発表。スカイラインGT-Rのレース活動は一時休止とされた。カルソニックレーシングチームも来年、スカイラインGT-Rに代えてフェアレディZを投入することになる。このGT-Rがしばらく姿を見せないことについて監督、選手にコメントをもらった。

星野一義監督
「さみしいね。70年に日産入りしてからは、僕にとってのレースカーはやっぱりスカイラインだったし、やっぱりグループAのころのR32が一番印象深いかな。日産本社の決定だから仕方ないけど、来年のフェアレディZにもスカイラインのスピリットは受け継がれると思うよ。07年に新しいGT-Rが出るようだけど、いつカムバックするだろうね?」

ブノワ・トレルイエ選手
「このクルマをドライブするというのは僕の夢でした。だから去年から乗ってGT-Rの長い歴史にかかわることができたのは大変うれしいことです。雨の富士で勝てたし、最後のレースでも勝つことができました!」

井出有治選手
「父がスカイラインに乗ってたし、星野さんがドライブするスカイラインに憧れてレースを始めたこともあるので、GT-Rの最後のレースで勝つことができたということは本当にうれしいことですね」

Topics

ページトップへ