関東地区の梅雨明けが発表された8月2日、富士スピードウェイはときおり日の差す曇天。気温は午前中に25℃を超え蒸し暑い。富士のレースは全開の第4戦に続き今年3回目。カルソニックスカイラインは、前回の優勝もあり70kgのハンディウェイトを搭載しての参戦となった。GT-R勢はNISMOの2台も70kgのハンディでイーブンなのだが、カルソニックスカイラインはストレートスピードを得ることを期待して、直径が0.7mm広いφ30.9のリストリクターを選んだ結果、50kg重い1130kg(ハンディ込みで1200kg!)という仕様になった。
前日に行われたフリー走行でクラッシュしたこともあり、満足なセッティングが見つけられなかったカルソニックスカイライン。午前中に行われた予選1回目で、トレルイエは残り3分の時点でベストタイムとなる1分25秒654のタイムをマークするも、トップから1秒の間に9台がひしめき合う激しい予選の中では14位がやっとだった。
午後の予選2回目では、混雑する残り5分を避けてその前にアタックを敢行し、1分25秒291までタイムアップ。予選2回の総合でもトップ10に食い込んだ。なお予選8位は#23GT-R、9位も#22GT-RとGT-R勢は8〜10位に固まる形となり、決勝でのポジションアップが期待された。
「車重が予想以上にタイヤに負担をかけているようで、厳しいレースになるかもしれませんが、後半勝負で頑張ります」と井出。

富士スピードウェイは9月半ばからコースレイアウトの全面改修工事に入るため、現在のようなハイスピードバトルを見ることができるのは、今回が最後となる（※監督、ドライバーのコメントはトピックスに）。また今回はカルロス・ゴーン日産自動車社長がサーキットに姿を現し、ドライバー、関係者としばし談笑。カルソニックカンセイは山田肇副社長が出迎えた。
前日同様、うす曇となった富士には、朝早くから5万人を超えるファンが詰めかけた。日産の応援スタンドは前回同様、応援旗を手にした多くのファンが陣取り声援をおくってくれた。14時59分に300kmレースがスタート。スタートドライバーはブノワで、まずはオープニングラップで#22GT-Rの影山正美をかわして9位へ浮上。さらにストレートスピードで勝るブノワは4周目の第1コーナーで#23GT-Rのミハエル・クルムを抜きGT-R勢のトップ、総合8位へ上がり、前を行くスープラ勢の追撃態勢に入った。
しかし、9周目の第1コーナーで、#23GT-Rをかわした#22GT-Rの影山がブノワに並びかけ接触。ブノワはイン側にコースアウトを喫してリヤウィングを破損。何とかコースに戻りピットへ帰ってきたが、右リヤのサスペンションにもダメージを負っており、これで修復作業に時間を要すことになってしまった。さらにタイヤ交換の際にタイヤを転がしてしまい、このためにピット作業違反でドライブスルーのペナルティを受けることになった。ブノワはレースに復帰してトータル32周を走り井出に交代。井出は周回遅れながら、今季2勝を挙げている#1スープラと遜色ないタイムで直後を走行しながらチェッカー。ポイントは得られなかったが、完走を果たしてファンの声援に応えた。
ブノワ・トレルイエ選手
「あの接触はレーシングアクシデントなんで仕方がないでしょう。僕の左リヤにちょっとだけ当たったんだけど、丁度コーナリング中だったから回ってコースアウトしてしまった。他のGT-Rとのアクシデントは避けなければいけないけど、僕もエリック(コマス)に当ててしまった(昨年のMINE)こともあるし。次のレースで頑張ります！」