JGTC第5戦は再び、日本屈指のハイスピードコースである富士スピードウェイに場所を移しての開催。今回からカルソニックスカイラインは、NISMOのGT-R同様、VQ30DETTエンジンを搭載した新しいスカイラインGT-Rになった。VQエンジン搭載車両は、エンジン本体の重量が軽い上に車両重量の中心が車両中央に寄ることで、コーナリングの回頭性がよく、またタイヤにかける負担も減少するというもの。加えてエンジンパワーも従来のRB26DETTに比べ、アップしており、これで後半戦の巻き返しが期待された。
27日に行われた予選日は、朝から真夏の太陽が照りつけ30℃を超えるコンディションとなった。お昼前にスタートした予選1回目。ピットアウトしたカルソニックスカイラインだが、コースを流してすぐにピットガレージに。そしてGT500の予選の枠20分が終了するまで、コースに戻ることはなかった。これはパワーステアリングのトラブルで、いわゆる“重ステ”状態。100Rなどタイトなコーナーでは曲がりきれず危険ということで、急遽修復作業が行われた。チームスタッフの迅速な作業で、GT300との混走枠にはコース復帰ができたが、混雑したコースではタイムアタックはできず、参加19台中18番手という結果に終わった。
午後の予選2回目は気温もやや落ち、コースはやや荒れているもののタイムアップには問題なさそう。田中哲也選手がタイミングを見計らいアタックをかけ、1回目のタイムを上まわる1分26秒930のタイムをマークするが、これは前日の練習走行よりも遅いタイム。結果、予選順位に変動はなく18位というポジションが決定した。
田中哲也選手
「クルマは徐々に良くはなっているんですが、今日のトラブルは仕方ないですね。次のもてぎまでにはきちんと走れるようにして、ファンの期待に応えたいです」

28日は朝霧と雲のおかげで、前日よりやや涼しいが湿気が多く、快適なコンディションではない。前日、予選終了後にエンジンを載せ換えたカルソニックスカイラインは、朝のフリー走行で12番手のタイムをマーク。決勝レースは楽ではなさそうだが、セーフティカー（SC）ランのタイミングをうまく利用してピットワークを迅速に行えば、ポジションアップも狙えそうだ。
15時10分、5万1000人ものファンが見守る中、57周の決勝レースがスタートを切った。スタートを担当したのは田中選手。2周目にはGT300マシンが激しくクラッシュしてコース上に破片が飛び散ったためにSCが導入される。そして作業も終わり5周終了時点で再スタートが切られた。序盤の混乱も難なくこなし冷静なドライビングを続けた田中選手だったが、14周目に突然のピットイン。すぐにボンネットが開けられ消火器が吹き付けられた。マシンはピットガレージに入れられ、この時点でVQエンジンのデビュー戦を飾ることはできなくなってしまった。
チームではすぐにリタイアさせずに、トラブルが発生したクラッチラインを修復。レース終盤には、再び田中選手がステアリングを握り、熱心なファンが拍手を贈る中、コースへ復帰した。結果は18周の周回で、完走扱いとはならなかったが、後半戦を巻き返そうとするチームの意地が見えたようなレースだった。