レースレポート

2016 SUPER GT 第7戦

10月8日〜9日 チャーン・インターナショナル・サーキット(1周:4.554km×66周)

カルソニック IMPUL GT-R、ペナルティを受けるも4位ゴール

2016年SUPER GTシリーズ第7戦は10月8〜9日にチャーン・インターナショナル・サーキット(タイ、ブリラム)において300kmレースとして開催され、安田裕信、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラの「カルソニック IPUL GT-R」は、3番グリッドからスタートしてオリベイラから2位へ浮上。トップに浮上した中盤には安田へつないだが、ピット作業中に違反行為がありペナルティを受けて6位へ順位を下げた。しかしここから安田が2台をかわして4位へ順位を戻してチェッカー。表彰台こそ逃したが、ポイントリーダーとの差を縮めて最終ラウンドに臨むこととなった。

タイの首都、バンコクから北東へ400km離れたブリラムで開催される海外ラウンドも今年で3年目。昨年はサッカーのワールドカップ予選の都合で6月に行われたが、 今年は一昨年同様10月の開催。雨季とはいえ連日30℃を超える暑さとなった。鈴鹿でまさかのリタイアを喫したチームは、56kgという比較的軽量なハンディウェイトということもあり、優勝を狙って現地入りした。

公式予選Q1は薄く雲のかかった晴れで気温30℃、路面温度38℃と予想より低いコンディションでスタート。安田はセッション終盤に7位のタイムをマーク。直後に8位へ順位を落としたがギリギリでQ1突破を果たした。「クルマもタイヤもいい感じですが、自分的にはあまり良い予選ではなかった」と唇を噛んだ。Q2では気温28℃、路面温度33℃まで下がった。ここでオリベイラがGT-R最上位となる3位につけて、まずまずのスタート位置を確保した。「僕たちのタイヤは安定しているので決勝が楽しみです」とオリベイラは決勝レースへの自信をのぞかせた。

決勝のグリッドではカルソニックカンセイの細川EVPと真行寺CTO、またカルソニックカンセイタイランド社からも応援に訪れ、星野一義監督を表敬訪問。星野監督も笑顔で出迎え活躍を誓った。 66周の決勝レースは気温33℃、路面温度44℃というコンディションの15時にフォーメーションラップが始まった。スタートを担当したオリベイラは、周回遅れの出始めた7周目の最終コーナーからの立ち上がりでバックマーカーを巧みに利用して2位に順位を上げると、3秒ほど先を走るトップを追った。しかしトップの車両もペースが良く、その差は7〜8秒差まで広がることとなった。中盤の28周目、その差は10秒まで広がったが、32周目にトップの車両は左リヤタイヤがパンクしてピットイン。これで難なくオリベイラがトップに立ち37周でピットイン。ここで安田に交代した。

ピット作業ではフロントウィンドウの汚れを取るために貼られたティアオフフィルムがうまく剥がれず、そのまま給油作業に入った。ところがこのフィルムが目に入ったオリベイラが、フィルムを剥がしてしまった。給油中はドライバー交代以外の一切の作業は禁止されている。安田はトップの11秒後方でコースに戻ったが、その10数分後に作業違反のためのドライブスルーペナルティが課せられることになった。51周で安田がピットロードへ。この隙に4台にかわされ6位へドロップすることに。52周を終えた時点で2位とは17秒、3位とは10秒離れていたが、4位の#39 RC Fとは8秒、5位の#64 NSX CONCEPT-GTとは5秒の差。さらに安田の背後には#17 NSX CONCEPT-GTがいた。残り14周で安田は順位を上げられるのか?

安田はドライブスルーでピットロードを通過した際にタイヤかすを拾い思うようにペースが上げられなかったが、3台による5位争いを展開。そのうちペースの落ちて来た4位の#39 RC Fに追いつき4台による4位争いとなった。安田は終盤62周目のターン9からターン10にかけてのS字でペースの鈍った#39 RC Fをかわすと、続く最終コーナーで#64 NSXをかわして一気に4位へ! さらに11秒差前の3位を追ったが、4周走り6秒差まで追い上げたところでチェッカー。残念ながら表彰台獲得はならなかったが、GT-R勢トップの4位でゴール。ポイントリーダーとの差を8点縮め20点差とし、最終ラウンドでの逆転チャンピオンへの望みをつないだ。第3戦代替戦と最終戦は、11月11〜13日にツインリンクもてぎに於いて開催される。

安田裕信
「鈴鹿での悔しい思いをここで晴らそうと意気込んでいましたが、4位という結果は残念です。ドライブスルーだけであれだけタイムロスするとは思いませんでしたし、ピットロードでタイヤかすをたくさん拾ってしまいました。終盤に39号車をうまくパスできて、さらに直後に64号車も抜くことができて4位までは戻れましたが悔しいレースですね。もてぎで連勝します!」

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
「クルマはいいペースで走れていたしタイヤチョイスも良かったので逆転優勝のチャンスがあったのですが、ここのピットロードは長くてタイムロスが大きかったです。しかし今季の僕たちを象徴するようなレースでした。あのペナルティがなければ……」

10月8日3位/ドライ観衆:2万4,249人
9日4位/ドライ気温33℃
路面温度44℃(15時)
観衆:2万7,948人
ドライバー部門安田裕信/J.P.デ・オリベイラ6位/36点
チーム部門7位/44点

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