レースレポート
SUPER GT 第8戦10月14〜15日 オートポリス(1周:4.674km×65周)
14日 : 晴れ / ドライ、14,970人    15日 : 晴れ / ドライ、51,200人

カルソニック インパルZ
2ピット作戦を決めて4位ゴール!

予選5位/決勝4位
ドライバー部門:8位/67点(B.トレルイエ/星野一樹)、12位/32点(J.デュフォア)
チーム部門:5位/60点


 60kgのウェイトハンディを搭載するカルソニック インパルZが、タイヤに厳しいオートポリスで採用したのは「2ピット作戦」。フレッシュなタイヤを得てピット作業で失う時間を補うというものだった。そしてこの作戦は見事に当たり、予選5位から4位ゴールという結果を得ることになった。


Copyright © Calsonic Kansei 
 65周の決勝レースもまだ序盤、22周目にブノワがピットイン。こんなに早くタイヤが消耗してしまったのか? 多くのファンがそう思ったに違いない。44周目に2回目のピットを済ませて再びバトンを得たブノワは10位でコースに復帰。そしてタイヤを消耗させたライバルたちを次々とパスして、62周目には4位まで追い上げてチェッカー。チャンピオン争いは厳しいかもしれないが、その権利を残して最終戦・富士に臨むことになった。

 今回のカルソニック インパルZのハンディウェイトは60kg。しかしZとオートポリスの相性は良く、60kgのハンディでもそこそこの位置が狙えそうだった。心配な点は、レースウィークのオートポリスの天候が非常に良く、路面温度が予想以上に高いこと。金曜日のフリー走行から、午後には気温は25℃前後まで上がり、路面温度も40℃を超えるほどだった。
 そして予選日も朝から好天となり、10時30分から始まる予選1回目の直前で、気温20℃、路面温度25℃という状況だった。10時50分、GT500の専有走行枠となる。20分間のセッション中盤にコースインしたブノワは、セッション終盤に1分42秒264のコースレコードを叩き出すが、それでも8位。さらに直後に2台の車両にタイムアップされて10位となった。
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 11時10分からは混走枠だが、このセッションで逆転されてはスーパーラップ(SL)進出を絶たれることになる。一樹が基準タイムをクリアしてからは、再びブノワが本来はSL用にキープしている2セット目の新品タイヤを履いて“有事”に備えた。しかし幸いにもコースは混雑しており、逆転を狙ったチームもタイムアップならず、カルソニック インパルZは10位でSL進出を果たすことになった。結果的にトップ10台がコースレコードをマークするというハイスピードバトルだった。
 「昨日も午前中はタイヤの温まり方があんまりよくなかったけど午後は良かったし、今日もそうなると思います。2セット目のタイヤを履いたから厳しい状況かもしれないけれど、SLで頑張って6〜7位につけられるといいですね」とブノワはSLに向けて闘志を燃やした。
 午後の予選2回目終了後、15時44分からSLが始まった。気温は25℃、路面温度は40℃近い。トップバッターは予選1回目10位のブノワで、各セクターをそつなくまとめ1分42秒230という基準タイムをマークした。しかしこの後にSLに臨んだ車両はストレートを含むセクター1でブノワのタイムを上回るものの、テクニカルなセクター2と3でタイムアップできず、6台目までの走行が終わってもリーダーズポールの一番上には「12」という数字が掲示されたまま。結果的には残りの4台に逆転され5位には落ちたが、それでもSLで5つポジションを上げることに成功した。

 決勝日も朝から晴れ。5万人を超えるファンで埋まったオートポリスは、決勝レース直前に気温は22℃ながら、路面温度は43℃まで上昇した。日なたでは暑く感じるが、風が多少あり日陰では肌寒いといったコンディションだ。
 13時58分、65周の決勝レースがスタートした。スタートを担当したブノワは、1コーナーで大きくふくらんだ4位スタートの#100 NSXに行き先を抑えられて、そのスキに#1 SC430に先行を許した。しかし2周目にはこれを逆転して5位へポジションを戻した。トップ4台は別世界のラップスピードで周回し、徐々にブノワは5位単独走行となっていった。しかしトップを走行していた#8 NSXの左フェンダーが接触で外れかけたためにこの修復のためのピットインが命ぜられ、これでブノワは4位となった。
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 トップの#23 Zとの差が10秒となった23周目、ブノワがピットイン。リヤタイヤを交換して一樹に交代。28秒という迅速なピット作業で一樹は13位で隊列に戻った。フレッシュタイヤを得た一樹は、他の車両がピットインを開始するとじわじわとポジションを戻して38周目には4位に復帰。周回遅れにひっかかるとややペースは鈍るものの、安定した速さで周回を重ねていく。
 そして45周目、一樹が22周の義務周回数をクリアしてピットイン。ここでタイヤ交換、給油、そしてブノワへ再びスイッチして10位でコースに復帰した。すぐに#66スープラをかわすと、48周目からは#6 SC、#36 SC、#3 Zと毎周1台ずつをかわし、50周目には5位を走行中の#22 Zの背後へ。1コーナーで並びかけた際にタイヤスモークを上げてヒヤリとするシーンもあったが、ブノワの方のペースが2秒も速い! 53周目にはこれをかわして、さらに20秒前方を行く4位の#1 SCを追った。1周あたり2秒以上を縮めて走行するブノワは、61周目にはついにこれを捕らえて62周目に4位に復帰。しかしトップ3とは1分近い差がついており、65周目に4位でチェッカーを受けて8ポイントをゲット。逆転チャンピオンの可能性を持って最終戦を迎えることになった。
 3年ぶりに敢行した2ピット作戦は決勝日の朝のスタッフミーティングで決定したという。タイヤに厳しいというコースの特徴、予想以上に上がった路面温度、終盤の荒れた路面での走行をブノワに任せたチームの判断、さらに一樹の頑張り。すべては作戦どおりに進んだレースとなった。


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星野一義監督
「2ピット作戦を提案した優秀なスタッフがいて、いいレースになったね。予定どおりにいったよ。ブノワの走りも素晴らしかったし、メカニックもミスなく仕事をしてくれた。トップの3台には全く追いつけないと思っていたので、4位という結果には満足しているよ。最終戦ではシリーズ何位を狙うということより、ひとつのレースを一生懸命戦うだけ!」

Rd. 8 SUPER GT in KYUSHU 300km
- Sunday,15 October, 2006 AUTOPOLIS [ 13:58〜65Laps fine / dry ]
Pos No. Car Driver Time / Diff
1 23 XANAVI NISMO Z 本山 哲 / 松田 次生 1:56'15"613 
2 18 TAKATA 童夢 NSX 道上 龍 / 小暮 卓史 -7"925 
3 100 RAYBRIG NSX Sebastien Philippe / 細川 慎弥 -30"221 
4 12 カルソニック インパル Z Benoit Treluyer / 星野 一樹 -1'02"484 
5 1 ZENT セルモ SC 立川 祐路 / 高木 虎之介 -1'13"104 
6 22 MOTUL AUTECH Z Michael Krumm / Richard Lyons -1'33"121 
7 36 OPEN INTERFACE TOM'S SC430 脇阪 寿一 / Andre Lotterer -1'34"685 
8 3 イエローハットYMS トミカ Z 横溝 直輝 / J.P.De.Oliveira -1'34"855 
9 35 BANDAI DIREZZA SC430 服部 尚貴 / Peter Dumbreck -1'44"592 
10 66 triple a サード スープラGT Andre Couto / 平中 克幸 -1'50"639 
11月4〜5日  富士スピードウェイ(静岡県)

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写真提供:Benoit Treluyer
ジュール・カズキ・トレルイエ、最新情報

 9月に誕生した男の子はまだ話ができないので、父親のベンさんに近況を報告していただきました。 「3年ぐらいずっと子どもがほしくて、それで授かった子だから、彼がいるだけですごくうれしいです。産まれてまだ1か月ですが、ものすごく満足しています。健康に育っているしおっぱいもたくさん飲むし夜泣きも一晩に1回ぐらいしかないし、妻も元気だし医者にも恵まれたし、問題は何ひとつなくどんどん大きくなっています。将来的には僕から押し付けるようなことはしないけど、できればモータースポーツのライダーかドライバーになってほしいです。大きいし力も強いからお相撲さんもいいかな?(笑) 彼が産まれてから自分自身のレーススタイルが変わったとは思いませんが、以前のようなバカなミスはしなくなりました。もしかしたら影響があるのかもしれませんね(笑)。  ジュールというのは探検家で(「海底2万マイル」などで知られる)作家のジュール・ベルヌから妻が決めました。悪くないと思いましたね。ミドルネームは本当は尊敬するカズヨシにしたかったんですが、残念ながらフランス人にとってはとても発音が難しいんです。星野ファミリーには感謝してるし、チームメイトの一樹も好きだし、それでカズキに決めました」


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