カルソニック インパルZ、2年ぶりの美酒 シリーズで最も過酷なレースで完全優勝!
予選1位 / 決勝1位 / 最速ラップ ドライバー部門:B.トレルイエ / 星野一樹=3位/59点、J.デュフォア=11位/32点 チーム部門:2位/52点
真夏の伝統イベント、鈴鹿1000kmでついに祈願成就! カルソニック インパルZは、新体制となって一番過酷なレースでポールtoフィニッシュ、ファステストラップ獲得とパーフェクトウィンを達成した。ジェレミー・デュフォアを助っ人として迎えた初のドライバー3人体制で戦った今回、173周レースのうちトップを明け渡したのは、最初のピットイン直後のわすか4周だけという圧勝だった。
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19時を少し回った夕闇の中、サーキットにこだまするエキゾーストノート。そして視界ににじむヘッドライト。幻想的な時間帯にチェッカーフラッグが振り下ろされた。スタンドから湧き上がる大きな拍手と歓声。その瞬間、チームインパルの今季初優勝が達成された。1周のクールダウンを終えてピットロードに先頭で戻ってきた青いマシン。Zから降りてきたブノワ・トレルイエがガッツポーズ。続いて駆け寄った星野一樹、ジェレミー・デュフォアと抱き合う。さらに駆けつけた星野一義監督も一緒になり歓喜の和が広がった。チームとしては04年の最終戦・鈴鹿以来2年ぶり、そして新体制となってからの初優勝は、何物にも代えがたい喜びとなった。
今回のカルソニック インパルZのハンディウェイトは10kgと軽量。予選から上位が狙える位置にいた。真夏の耐久イベントに向けて、Zはボディを補強され、フロントタイヤの接地状態を改善しリヤタイヤの磨耗を減らす改良を受けた。またエンジンも振動が減るよう改良され、さらに屋根をブルーミラーにコーティングして熱対策、そしてバンパーは補助灯を追加して安全面の対策も怠りなかった。
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18日の練習走行日は台風の影響で雨が降ったりやんだりのコンディションながら、ドライコンディションでブノワが1分57秒800のトップタイムをマークするなど、天候に恵まれればそこそこの位置が確保できそうな雰囲気で、チームにも手応えがあった。
19日の予選日は曇り。気温は30℃だが湿度が非常に高く、蒸し蒸しとしている。10時20分から行われた予選1回目、ここでブノワが1分57秒006のタイムでトップを奪ったが、その1分後に#18NSXに0秒056の差で逆転され2位となったが、堂々Z勢のトップでスーパーラップ(SL)進出を果たした。午後の予選2回目を終えて15時35分からSLが始まった。9番目のアタックとなったブノワ。ターゲットタイムは1分56秒546だ。これまでSLで期待されながら、天候の変化や無念のコースアウトなどで歯車の噛み合わなかったブノワだったが、今回はどうか?
1〜2コーナー、そしてS字のバランスは完璧。ダンロップコーナーまでのセクター1は0秒3速いトップで通過。そして立体交差までのセクター2でも0秒3のリードを保った。しかしこれから先のセクター3では、リストリクター径を広げ性能調整を受けた車両のトップスピードが有利。ブノワは130R手前までのセクター3で0秒1遅れてしまった。万事休すか? しかしブノワは渾身のアタックを続けて最終区間のセクター4で再び逆転。トップタイムを0秒08上回る1分56秒426でトップに立った。
最後のアタック車両はセクター1からブノワのタイムを更新できず4位にとどまった。その瞬間、ピットやスタンドからは大きな歓声が沸き起こった。ピットの奥でタイミングモニターだけを見ていた星野監督の表情も崩れたのだった。
「パーフェクトとは言えないアタックで走っている途中もポールが獲れるか不安でした。今回のレースは1000kmと長いのでいろんな面に気をつけて走りたい。特に誰かの後に走るということをやっていないので、特に気をつけないと」とブノワ。一樹も「にやけちゃって笑顔が止まらない」と自分のことのようにブノワの仕事を喜んだ。
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20日は晴れ。前日ほどの湿気はないものの、気温は30℃と今年のセパンよりも暑いレースとなりそうだった。13時5分、173周の決勝レースがスタートした。1コーナーに先頭で飛び込むブノワ。そして2位との距離を引き離すことに全力を注ぎ、1周で2秒7のリードを稼いで帰ってきた。ドライバーのローテーションは明らかにされなかったが、6回のスティントのうちブノワが3回を担当、ジェレミーと一樹で3回が予定されている。
ブノワは4周目に1分58秒829のファステストラップを刻み、後続とのリードを4秒1に、そして徐々に引き離していった。周回遅れに引っかかったラップでも2分2秒台、単独走行が可能となれば2分0秒台のコンスタントラップで独走状態となり、2位との差を13周目には10秒3、23周目には24秒7、そして27周目には36秒0ものリードを作った。
30周を迎えることから最初のルーティーンピットが始まり、ブノワは31周目にピットインしてジェレミーに交代。この間、ピットインを遅らせていた#35SCにラップリーダーを受け渡したが、36周で#35SCがピットインするとジェレミーと2位#8NSXとの差は25秒5となっていた。ジェレミーは2分2秒台の安定したラップを刻み、地元鈴鹿で逆転優勝を狙う#8NSXとの差をキープ。そしてきっちりと自分の仕事をやり遂げ64周でピットイン。ここで一樹に交代した。ピットスタッフも完璧な仕事で一樹をコースに送り出す。
一樹がコースに戻ると2位#35SCとの差は28秒。2分2〜3秒台の安定したラップタイムでトップを守った。72周目に2位の#35SCがピットインをすると、今度は#22Zが44秒差で2位となり、これでZの1-2態勢に。スティントの後半はさすがに2分4秒台にラップタイムは落ちたものの、一樹は2位との差を40秒ほどに保ったまま91周目にピットイン。ここでブノワと交代した。
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路面温度がやや落ちてきたこともあり、ブノワは交代直後から1分59秒台のタイムをマークしながら、2位#22Zとの差を27秒から瞬く間に1分以上に広げていく。そして123周目に4回目のピットインを行ってジェレミーに交代した。直後に2位に浮上していた#8NSXにブレーキトラブルが発生。これでZの1-2態勢はほぼ確定した。ジェレミーもこのスティントでは2分0秒台のラップを重ねて2位#22Zとの差は1分27秒まで広げた。さらに135周目には3位の#35SCを周回遅れにしてしまった! ジェレミーは147周目に最後のピットイン。アンカーは3回目のドライブとなるエース、ブノワだ。
日が傾きトワイライトな時間帯に。18時10分、全車に「ライトオン」の掲示が出された。やがて夕闇が迫り、このレース独特の幻想的な時間帯を迎えた。ブノワは見づらいコースでも決してペースを緩めず1分59秒台のタイムを連発して独走。そしてついにトップチェッカーを受けたのだった。そして一樹にとって昇格6戦目のうれしいGT500初優勝となった。
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ブノワ・トレルイエ
「今の気分は最高。だけど明日になるともっと優勝を実感できるんだと思います。去年35点しか取れなかったのに、今回だけで32点を獲得。チームもふたりのドライバーも素晴らしい仕事をしてくれました。こんな完璧なレースはなかなかないので、これから先のレースが不安です。ずっと旗を振って応援してくれた最高のファンに感謝します」
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星野一樹
「GT300で勝ったときもそうでしたが、監督と握手して……、(涙が出てきて)あ、やばい。結構暑かったけれどセパンよりも楽でした。もてぎ、オートポリスとベストを尽くしていい状態で最終戦富士を迎えたいです」
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ジェレミー・デュフォア
「最高な状態にセッティングされたクルマでしたので、限界までプッシュする必要はありませんでした。ブノワが80%の仕事をしてくれたので、僕の仕事はギャップを保つことだけでした。今年初めてのレースで優勝できてうれしいし、これが来年につながればいいですね。ブノワと一樹には感謝しています」
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