最終戦に向けて

僕は戦って勝ちたいんだ!だからそんなレースをする

オートポリスでのレースでは、総合力の差が出てしまったね。ここ2年ほどはずっと力が足りないと言ってきたけれど、こうして惨敗を喫すると本当に何もやる気が起きてこない。ピットワークでもミスが出た。ぼやきっぱなしで、まるでプロ野球の野村克也さんみたいだ。ID野球ならぬIDレース。全然IDになんてなってない状態だけれど。

秋にオートポリスで行われるレースでは、毎戦ピックアップの問題が起きる。路面が冷えたところで柔らかいタイヤを履くし、タイヤのラバー片はラインの両サイドにたくさん落ちてくる。GT300クラスを追い抜く際にラインを外してしまうと、これを拾ってしまうから、思うような走りができなくなる。ヤン(マーデンボロー)は関係なく走れるけれど、佐々木は感度が良すぎてあまりうまく走れない。温度やバランスを頭で計算してしまう。頭が良すぎるのが邪魔しちゃうんだ。速く走るのがドライバー。もちろんクラッシュしないというのは良いことだけれど、”ヨーイドン!”で速く走らなきゃ。運転に集中していれば無線なんか使わないでしょ。僕なんかピットから無線でいろいろ言ってくるから「うるさい!」と言い返したことがあったよ。佐々木には「”戦う”と手に書いて走れ」と厳しく言ったよ。料理人だって、調味料をいちいち軽量して作らないでしょ? 自分の舌を信じてテキパキと安定しておいしい料理を作っていくものだしね。

最終戦のもてぎはウェイトハンディもなく距離も250kmと短い。タイトル争いとは関係ないので、思い切って戦う。GT-Rの4台の中では、ウチの順位がバロメーターになると思う。オートポリス同様、大勢のファンや応援団がもてぎには来てくれる。だから一発ガツンと気持ちの良い勝ち方をしたいけれど、正直しんどいのが現実かな。それでも正直、勝ちたいんだよ!

僕はレースでさまざまな勉強をさせてもらったし、レース界が大学だったと思っているし、レースでビジネスのやり方も覚えた。その素晴らしさを書き綴った本を出したいぐらい。それほどのレースバカで、もうレースが近くなるとどうにもたまらなくなってしまうんだ。71歳になっても熱いよ。だから最終戦でも戦う! どんな展開になるかは分からないけれど、良い流れを作って来年につなげたいね。

ページトップへ

※ 写真の転載・転用は法規上の観点より、ご遠慮ください。