SUGOラウンドに向けて

今度も這い上がり、戦うレースをする

8月の富士のレースは、あのまま最後まで走りきっていればもちろん優勝だったし、シリーズランキング的にもかなり上位に行けただろうし、もったいないというか、すごく重い結果になってしまった。あんなことはすごく早く忘れるようにしているつもりだけど、たまに思い出して腹立たしくなってくるね。勝っていれば、スポンサーに対してもチームのイメージや雰囲気が大きく変わっただろうし、本当に大事な一戦だった。だからあれこれ考えるとどうしてもしんどくなってしまうよ。人生と一緒でツキがあるかないかの差だからね。

あのレースはブリヂストンが素晴らしいタイヤを用意してくれた。予選でのパフォーマンスはそれほど良くはなかったけれど、長い距離を走ってもラップタイムが落ちることなく走ることができた。もちろん佐々木とヤンも素晴らしい走りをしたし、スタッフもノーミスのピットワークを見せてくれたけれど、ブリヂストンタイヤの磨耗、温度、距離、すべてをそろえた力は改めてすごいと思った。まぁ結果的にはありえないことが起きたということで、決してチームも守りに入るようなレースはしなかったよね。ウチは常に戦う集団でなければいけないわけだし。

そういえば富士のレースの後に、ブノワ(トレルイエ)が家族そろってやってきた。何が食べたいかって聞いたら寿司がいいって言うんで、赤坂の新しい寿司屋へ連れて行った。ブノワの息子(ジュール)も大きくなったけれど、本当に映画俳優にしたいぐらいきれいな目をしているね。家族ぐるみで付き合いのあるドライバーってブノワぐらいじゃないかな? 実はね、ブノワがまた日本で走れるよういろいろと段取りをしたことがあるんだけれど、奥さんがダメって言ってたらしい。子どもの教育の面でもそうなんだろうね。それに日産ばかりじゃなくてトヨタもホンダも若手を育成しなきゃいけない。だからブノワが日本で走る場所はなかなかないかもしれないね。

次のSUGOはウェイトも軽いままだし改めて活躍を期待されているようだけれど、あのコースは曲がって曲がって曲がってというアンダー(ステア)の出やすいコースで、フロントタイヤのグリップが要求されるところ。ということもあって、GT-Rには今ひとつ合ってない。オートポリスもフロントタイヤのグリップを要求するコースだし、10月だとピックアップ(現象)も起きやすくタイヤで苦しむから、楽観視なんてしていないよ。

まぁそれでも俺は人生で何度も何度も這い上がってきた男。今度も這い上がるしかない。いつまでも過ぎ去ったことは振り返らず、みんなに喜んでもらえるような戦う姿勢のレースをやっていくよ。だからSUGOやオートポリスでも全力で行くので、諦めずに応援をお願いします。

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