次戦富士ラウンドに向けて

全員クビを覚悟してこれからを戦う

スーパーフォーミュラの開幕戦はチームの2台(関口雄飛、平川亮)が接触して平川はリタイアになったけれど、ふたりのドライバーはライバル。クルマがどうなろうが関係ない。平川には「当たった相手にはちゃんと謝っとけよ」とは言っておいたけれどね。僕はレース中、チームとドライバーのやりとりは聞いているけれど、僕から無線を入れることはない(※無線セットのマイクは上に上げられている)。だってドライバーは運転に集中しているんだから、必要以上のことを話しかけられてもうるさいだけ。燃料がどれぐらい残っているかとかの大事なやりとりだけで十分。

SUPER GTの開幕戦は散々な内容になってしまい、ファンやスポンサー、関係者の方々には大変申し訳ないと思っています。レース後もタイヤメーカーを含め長い時間をかけてミーティングをやったのだけど、結果を見て周りがグチグチ言うなと言った。とにかく遅い。ペースが上がらなかったのだから。これをどうやって挽回していくのか、現状では全く見えて来ないというひどいレースだった。1時間ちょっとのレースのために、それまで100時間以上もかけて準備してきてこの内容では、何をやってきたのかということだね。結果が出せないようであれば、みんなプロなんだから全員クビだよ。その責任は自分にある。去年からそう思って言ってきたけれどね。

だから次の富士のレースも全く見えてこない。最悪の状態で迎えるレースということなので、テンションはなかなかというか全然上がって来ない。とにかくオレが責任を取るから、速さにそして結果につなげろということだ。そういう覚悟で富士に入ります。

そういえば、数日前に他チームのエンジニアが心筋梗塞で亡くなった。まだ50代の前半と若いのに。高橋(紳一郎工場長)が若い頃同じチームにいたので、ショックは大きいだろう。みんな忙しくしているけれど、自分だっていつ何どきどうなるか分からない。くれぐれも自分の健康には気をつけていかなければならないね。

ここ数年、レーシングチームにも変化が起きてきていて、日産のGT500/300チームもしかり。若返って活性化しているチームもあれば、やめていくチームもある。寿司を握れない寿司職人が寿司屋を経営したってお客は離れていく。これはチームやいろんな協会や団体にも言えること。ウチのチームだっていつまでレースをやっていられるか、危機感を持って過ごしている。やめてしまうのはとても簡単だし楽なんだろうけれど、どうしてもレース馬鹿なんだよね。とにかく富士では全員が危機感を持って精一杯やるつもりだよ。

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