第3戦九州ラウンドに向けて

テンションが上がらない状態だけど
1年半ぶりにオートポリスで戦う

ゴールデンウィークの富士では、オルタネータのベルトが3本も切れてしまって怒る気力もなく帰った。公式練習で2本、決勝で1本、なぜ同じものがこう簡単に切れてしまうんだろう。何かがベルトに干渉しているわけでもなく原因は不明のまま。不安を残したままオートポリスに行くことになるね。

4月にオートポリスで行われたタイヤテストは、トップを取ったセッションはあるにはあったけれど、ウチは全体的には遅かったという印象。スピードは出ない、曲がらないという状態だから、開幕2戦で活躍したクルマがウェイトを積んでいたとしても、『勝ちます!』なんて言えない。おまけにホンダが軽くなるなんて。クルマのバランス面でもブレーキ面でもミッドシップは有利。さらにテンション落ちちゃうよ。

オートポリスの地元大分にはカルソニックカンセイさんの関連企業もあるし、例年大勢のファンが応援に来てくれる。富士では森谷社長さんが応援に来てくれたし、本当に感謝しているけれど、現状ではやるぞって気力が湧いてこないんだ。僕の場合、気持ちがストレートに顔に出ちゃうからね。ウチのチームは完全に体育会系。成績が出ないのは監督の責任だし、プロのスポーツチームなんて成績が悪かったら監督は交代だよね。僕は”レース馬鹿”で通したいし、レースに賭けている。だけど去年からミーティングで出てこないようなことが、頻繁に起きるようになった。考えられないようなミスやトラブルが起きてしまう、レースの怖さをずっと体験しているよ。だから精神的にすごくしんどいし先が全然見えて来ない。このままの状態で年末まで行ったら、チームも解散しなければならないかもしれないね。そのぐらい危機感を持っている。

そういえば、「ホリデーオート」誌が「星野一義FANBOOK」という本を出してくれた。他のクルマ雑誌が先輩ドライバーをプッシュしている時に、「ホリデーオート」の河原(良雄)さんは僕に声をかけてくれた。まだ30歳になったばかりでインパルを作る前だったし、もう40年のおつきあいになるんだね。僕も今年は70歳。このFANBOOKには、若い頃の裸の写真も出てて懐かしいよ。ちょっとふざけてみようかってことで脱いじゃったんだけどね。ぜひ読んでみてください。

ところで最近また熊本で弱い地震が頻繁に起きているようだけど、僕は地震が怖いんだ。東日本大震災の時は鈴鹿にいたけれど結構揺れてね。もう動けなくなっちゃって、ただただ揺れてる建物を見上げるだけだった。次のオートポリスでは被災した人を元気付けたいけれど、逆に地元の皆さんたちから元気をもらっちゃうことになるのかもしれない。とにかくカルソニックカンセイさんに金メダルをプレゼントしたいという気持ちはずっと持ち続けているよ!

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