第3戦タイラウンドを振り返る

Q1突破が重要。富士は手堅くいくよ

タイでは予選11位から4位でゴールしてシリーズ2位になったけれど、公式予選Q1をギリギリで通りたかったね。そこに残れれば最悪でも8位からのスタートだから、表彰台にも行けたと思う。公式練習ではGT-Rはトップ4を占めたのに、Q1を突破できたのは1台だけ。予選になってレクサス勢が突然速くなった理由は分からないけど、日産勢は最初から力を目一杯出しちゃったという感じだったね。

ウチもクルマ、ドライバー、ピットメンバー、そしてシミュレーションとすべてのトータルで何としてでもQ1を突破していかないとダメ。Q1を担当する安田にも「走って金を取るのがドライバーの仕事、速くなければダメだ」と言ってある。実際にテストや公式練習でも乗る時間は短いけれど、俺はそんな時でも他のドライバーの走りをずっと見ていて、乗った時には一番速く走ったからね。自分には徹底的に厳しかったよ。ギリギリまでチャレンジしなきゃ。それでクルマを壊したとしても一度も怒ったりしたことはないし。速くなくちゃいけないんだ。

JPがライバルに当てちゃって先方に謝りに行く機会も多いけれど、実はあれは嬉しいんだ。当たっちゃうのは頑張ってる証拠だよ。今のSUPER GTではきれいな追い越しが要求されて、接触とかですぐにペナルティを受けてしまう。レースは競争だよ。清く美しくなんてレースじゃない。2台並んでコーナーに入って行って当たっちゃうこともあるよ。こんな日本のレースをやっていたら、世界に通じるドライバーは出てこないしF1なんて行けないよ。JPはJPでなきゃいけない。いつまでも日本にいちゃいけないんだけどね。

タイはバンコクからサーキットまでが遠いからタイ国内は今年も飛行機で移動したんだけど、乗り継ぎが悪いから結構時間がかかっちゃった。せめてドライバーたちだけでもチャーター便を用意して欲しいよね。今はほとんどのスタッフがクルマで移動してるけど、そのうち絶対に事故が起きるよ。GTアソシエイションも対策を練っておく必要があるだろうね。

カルソニックカンセイのスタッフから「星野さんの乗ってる『カルソニック』のロゴに憧れて入社したけれど、応援していて本当に良かった」と言われると嬉しいよね。ぜひチャンピオンを獲ってプレゼントしたいね。そのためにはクルマもタイヤも妥協しない。テストのメニューも多いけれど、ダメなものはダメだとはっきり言っていいものにしていかないと。開発に関しては本山が意見をストレートに言うドライバー。チームやメーカーに対して優等生である必要はないし、そんな優等生は開発に向かないよ。

8月の富士はウェイトの面で不利だし、軽いクルマが速いから条件面では厳しいレースになると予想している。それでもそんな中でも最高の結果を残したい。ひとつでも多くのポイントを得たい。富士はGT-Rにとって苦手のコースでもないし、トラブルなく手堅くという”星野らしからぬレース”をするよ。つまらないかもしれないけど、GTはコツコツポイントを重ねないといけないからね。夏休みだしぜひ観戦、そして応援に来て欲しいね!

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