グローバルテクノロジー本部
デザイングループ
今井 千早(イマイ チハヤ)
GUIから
コーポレートデザインまで手がける
埼玉県さいたま市にある本社内の奥まったところに、今井が日々仕事に取り組むデザインスタジオがある。そのエリアまでのアプローチ、まるでシリコンバレーにでもあるオフィスにワープしたような、ブラックとブルーを基調にしたモダンな空間の各所に、さまざまなピクトグラムが配されている。それは、それぞれのエリアの意味を表現したもの。例えば、デザインスタジオ前にあるピクトグラムは「インスピレーションから、ひらめきを得て、可視化する」。すでにここから、今井たちの世界に向けてのクリエーションは始まっている。
「新卒で入社してちょうど10年になります。最初からずっとこのデザインの部署に在籍していますが、まったく迷いがない。天職だなと思っています」。しかし、その10年の間に今井が担当した領域は実に幅広い。クルマのメーターのデザインから、ディスプレイに表示されるGUIデザイン、パーツ単体だけでなくインストルメントパネル全体の提案まで。さらに並行して、企業としてのブランドイメージに関わるコーポレートデザインにも取り組んでいる。
求められるのは
ワールドレベルのデザイン
「もちろん海外の拠点からも依頼がきます。オリジナルのロゴを作りたいといったオーダーから、中国で新設されるショールームの空間デザインまでいろいろあります。でも、どんな依頼に対しても真剣にアイデアを練り、魅力的なデザインを作ることを心がけています。カルソニックカンセイに関わる幅広い分野で、その一つひとつのデザインを高めていきたいと考えているんです」。
今井が強く印象に残っているのは2016年、F1日本GPの公式プログラムに掲載する企業広告のデザインを行ったこと。F1はレースだけが世界最高峰なのではない。広告デザインについても、ワールドレベルのクオリティが求められる。限られた時間しかない中で、マシンの写真を選定し製品写真を撮影、掲載するテキストを検討してデザインを仕上げる。もちろんカルソニックカンセイとしてのビジュアル・アイデンティティを尊重しながら。厳しいチェックをすべてクリアして完成、世界の名だたる企業とともに広告が掲載された。
世界中で働く人たちに
快適なウェアを
今井は、工場やオフィスで働く人たちのためのウェアのデザインも、自ら積極的に提案するために先行してスタディを行っている。「世界中に拠点があるので当然、そのエリアによって気温なども異なります。それぞれの環境に最適で機能的なデザインは何かを考えます」。デザインの視点から企業を、そして世界を見据えている今井。
実は今、実務だけでなく就業後にグラフィックデザインの学校にも通っている。「目に見えない価値やストーリーを、デザインに込められるようになりたくて。その奥深い世界を極めたいんです。できればさらに海外で学んで、デザインの技術や知識を習得しクリエイティビティを高めていきたいと考えています」。「今は自由にやりたいことをやらせてもらっている」と語る今井だが、その視線の先にある想いは揺るぎない。「10年後には技術だけでなく、“デザインが優れている会社”と言われるようにしたい」。デザインスタジオの入口には“Design is Dream”と刻まれている。夢はきっと叶う。